GENIX-CN70

187.45

+2.52

4月26日終値

中東産LPG日本向け出荷価格5月分は、プロパンが前月比35ドル値下がりして1トン580ドル。ブタンは同35ドル下がって585ドル。ともに2カ月連続で値下がりした。
市況情報

  中東産LPG日本向け長期契約価格(サウジCP)5月分は、プロパンが1㌧当たり580ドルと前月比35ドル下落した(下落率5・69%)。値下がりは4月分に続いて2カ月連続。

  ブタンは前月比35ドル値下がりして(下落率5・65%)1トン当たり585ドルとなった。ブタンも2カ月連続で下落した。

(2024年4月26日配信)

 【過去解説記事】

 中国税関が18日に発表した3月のLNG輸入量は前年同月比24・1%増の665万㌧となり、3月としては2021年の564万㌧を上回り3年ぶりに過去最高を更新した。1~3月の累計輸入量は同20・4%増の1985万㌧と、年間輸入量が過去最高だった21年同期を0・8%上回った。

 今年第1四半期の国内総生産は5・5%増と昨年第4四半期の5・2%増を上回った。輸出産業を中心に二酸化炭素排出削減のためのガスシフトも進んでいる。同期間のLNGスポット市況が前年同期を4割下回るなど割高感が薄れたことも需要喚起につながったようだ。今後の見通しについてエネルギー・金属鉱物資源機構調査部竹原美佳部長は、「国際市況はこのところ上昇に転じており、LNGスポット調達は目先一服しそうだが、地方政府のガス火力建設推進や船舶燃料のグリーン転換などもありガス需要そのものは高まる方向」としている。

(2024年4月18日配信)

【過去解説記事】

 東証4月12日 東京ガスの株価が一時前日比54円高の3899円と前日に続いて上場来高値を更新した。同社株は今週に入って騰勢を強め、年初からの株価上昇率は20%に達した。3月中旬、大阪ガスの時価総額が一時、東京ガスを逆転したが、東京ガスが再び首位に立ちリードを広げている。4月19日に全国知事会が東京ガス横浜ステーションを視察し、e‐メタン製造実証の説明を受ける予定となっている。カーボンニュートラルに向けた同社の技術力に注目が集まりそうだ。株価上昇により、株価純資産倍率(PBR)は0.94倍へと上昇。1倍乗せが視野に入ってきた。

 都市ガス株では、北海道ガスの株価も上昇基調にあり、この日も前日マークした上場来高値2960円まで一時買い進まれる場面があった。年初からの上昇率は34%に達するが、同社株のPBRはいまだ0.7倍台にとどまり、依然割安感が漂う。北海道では半導体工場の新設で電力消費の大幅な伸びが予想され、北海道電力の株価もこのところ大幅に上昇している。

(2024年4月12日配信)

 4月3日 米原油先物(WTI)は前日比28セント高の85.43ドルと3日続伸、本年の高値を更新した。ウクライナによるロシア主要製油所への無人機攻撃や、イラン大統領によるイスラエルへの報復表明など地政学的リスクの高まりが背景にある。また週間統計で米国原油在庫が前年同期比18.5%減と減少が目立ったことも材料視されている。

 注目されたOPECプラス合同閣僚監視委員会は、生産目標維持を決定。また、米連邦準備理事会パウエル議長は講演で利下げを急がない姿勢を示したとされる。三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部・芥田知至主任研究員は、「中東、ウクライナ情勢は今後一段と動向が注視される。また、米金融政策、中国当局による経済運営、産油国の生産方針なども引き続き注目される。ただ、米中の景気は石油需要を上振れさせるほどには強くないとみられ、相場の上昇傾向を決定づける材料は出にくいと思われる。相場は再び一進一退の推移となりやすい」と指摘。もっとも、今年後半にかけて米利下げを受けてドル安が進む展開となれば、ドル建ての原油価格には割安感が生じ上昇圧力がかかりやすくなるとし、今年度は1バレル95ドル程度の上値が見込めるとしている。

(2024年4月4日配信)

 GENIX-CN70は年度内最終売買日となった3月29日、前週末比0.55ポイント上昇し189.41と、2週続けて最高値を更新した。3月末割り当てで1対10の大幅な株式分割を実施した三菱重工業は権利落ち後も堅調で、修正株価は連日の最高値となった。GENIX-CN70構成銘柄では他に理研計器が1対2、川崎汽船が1対3の株式分割を3月末割り当てで実施した。

 岩谷産業の株価が3連騰で、連日の上場来高値更新。3月28日にコスモエネHD株式を追加取得し、持ち分法適用会社にしたと発表したことが材料視されている。コスモエネの今期純利益予想は780億円、岩谷産業は335億円。持ち分比率2割相当の利益が来期以降、上乗せされるインパクトの大きさが期待されているようだ。また、会社側は本件株式取得に要する資金を借り入れで賄うとしており、「増資による一株当たり利益の希薄化が回避される見通しになったことも好感されている」(国内証券調査部)という。

(2024年3月29日配信)

 米国3月26日、米パイプラインガス(ヘンリーハブ=HH)先物価格が終値で5日続落し、百万BTU(英国熱量単位)当たり1.575ドルに下落。2月20日に付けた本年安値1.576ドルを1カ月ぶりに割り込んだ。ザラ場安値は1.4㌦台まであった。

 米エネルギー情報局(EIA)が3月21日に発表した週間データによると、米国の地下ガス在庫量は3月15日時点で前年比21%増、過去5年間の平均値に対しては41%上回っている。エネルギー・金属鉱物資源機構・白川裕調査役は、「気温が上がり需要が低下して、在庫がさらに積み上がったことと、生産がすぐには低下しないことが主要因」と指摘する。こうした在庫の荷余り感が先物市況の上値を重くしているようだ。

 HH先物価格の過去15年間の値動きを振り返ると、期近先物価格が1ドル台まで下落した年は2012年、16年、20年の3回あり、当該年の安値形成月はそれぞれ、4月(1.9ドル)、3月(1.6ドル)、6月(1.4ドル)となっている。春に安値を付ける習性と、この間の価格水準が切り下がる傾向が見て取れる。

(2024年3月27日配信)

 3月22日、ガスエネ株価指数カーボンニュートラル70(GENIX‐CN70)は2週間ぶりに過去最高値を更新した。GENIX‐CN70構成銘柄はほぼ全面高となり、K&Oエナジー、三菱重工、岩谷産業、大阪ガスなどが最高値を更新した。

 なお、三菱重工(1株→10株)、理研計器(1株→2株)、川崎汽船(1株→3株)は3月28日付で株式分割の権利を落とす。株式分割のメリットとしては、単位投資額の引き下げによる投資家層のすそ野拡大、流動性の向上などが指摘される。昨年以降で、株式分割を実施したリンナイ、NTT、三菱商事、京セラは、権利落ち後も堅調な値動きを保っている。

(2024年3月22日配信)

 3月15日 ENEOSHD(GENIX―CN70構成銘柄)の株価が朝方から買い進まれ、5年3カ月ぶりに700円台に乗せてきた。他にもINPEXや石油資源開発、コスモエネルギーHDなどの石油関連株、資源高が利益に結び付く商社株も軒並み値上がりしている。コスモエネルギーは国内大手証券が投資格付けを引き上げたことも好感され、株価は上場来高値を更新した。

 株式市場は、米原油先物(WTI)が14日、期近4月渡し終値で1バレル81.26ドルと続伸し、昨年11月6日の80.82ドル以来の80ドル台乗せとなったことを材料視しているようだ。国際エネルギー機関(IEA)が同日公表した市場レポートでは、今年の石油需給は供給不足になるとの予測が示されている。産油国の自主減産延長による供給減や、紅海におけるタンカー襲撃で海上輸送距離が延びておりバンカー燃料の需要増加を織り込んだという。もっとも原油市況は過去1年余りにわたって、おおむね70ドルから80ドルのレンジで推移しており、80ドル台では上値の重さも意識されそうだ。

(2024年3月15日配信)

 3月8日 大阪ガス(GENIX CN‐70構成銘柄)の株価が前日比153円高の3350円で寄り付き、直後に230円高の3427円まで上昇。1月11日に付けた上場来高値3242円を一気に更新した。同社は7日、3カ年中期経営計画を策定し、配当を原則減配せず維持または増配する累進配当制度を導入すると発表し、好感された。

 2024年3月期の配当金は前期比12円50銭増配して72円50銭(従来予想65円)に、25年3月期は95円を目指す方針も示した。株主資本配当率を3%とする方針を掲げ、機動的な自己株取得も検討するとした。この他、自己資本利益率(ROE)の目標は26年度に8%程度、投下資本利益率(ROIC)は5%程度を目指す。「株価を意識した経営姿勢に変化していると株式市場が受け止めており、都市ガス株の中でも相対的な値上がりが目立ってきている」(中堅証券)という。この日前場終値での時価総額は、大阪ガスが1.43兆円、東京ガスは1.41兆円となり、大阪ガスが東京ガスを逆転した。

(2024年3月8日配信)

 2月22日 東証では朝方から買いが先行し、日経平均株価は大幅に反発した。終値は初の3万9000円台で、1989年12月以来の史上最高値更新となった。注目された米エヌビディアの決算が市場関係者の事前予想を上回り、3連休控えにもかかわらず、マーケットのセンチメントは強気に傾いた。半導体関連株をリード役に、主力株を中心に幅広く買い進まれた。

 GENIX‐CN70構成銘柄も軒並み上伸した。三菱重工業が上場来高値を更新し、日本酸素HD、川崎汽船は最高値をうかがう動き。原油市況の上昇を背景に石油資源開発など石油関連株も値上がりした。

(2024年2月22日配信)

 米国パイプラインガス市場価格(ヘンリーハブ先物)が2月15日、8日連続安となり、百万BTU(英国熱量単位)当たり1.5㌦台まで下落、2020年6月以来の安値水準となった。在庫の積み上がりが背景にあるという。

 エネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は「原油市況が1バレル80㌦弱と堅調なことから、パーミアン盆地を中心にシェールオイルの生産が盛んで、随伴ガスの生産量も増えている。気温が高めに推移していることもあり、地下在庫は過去5年間の最高水準に到達している」と指摘。

 先物市場の中心商いが春の需要閑散期に移りつつあることから、市況は当面弱含みで推移しそうだ。
(2024年2月16日配信)

2月12日 米国で天然ガス市場価格(ヘンリーハブ先物価格=HH)が5日続落し、期近終値は百万BTU(英国熱量単位)当たり1.768ドルに下落した。1.7ドル台は2020年7月以来の安値となる。市中在庫が高水準にあり、市場のセンチメントを圧迫している。

HHは昨年11月以降、3ドルを割り込むなど市況の低迷が続いているが、生産量が落ち込む兆しはいまだ見えないという。エネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は「原油市況が1バレル80ドル弱と堅調に推移していることから、オイルリッチなパーミアン盆地を中心に油狙いの生産が盛んになっている。このため副産物であるガスの生産も増加している」と指摘する。

(2024年2月13日配信)

米国市場でガス市場価格(ヘンリーハブ先物価格)が続落している。7日に心理的な下値めどと見られていた百万BTU(英国熱量単位)当たり2ドルを割り込むと、8日終値は一段安となり1.917ドルまで下落した。およそ3年5カ月ぶりの安値水準となる。

市況下落の背景には、マーケットの荷余り感があるようだ。「このところの気温上昇で暖房用需要が低下しており、地下在庫量は過去5年間の上限レベルに到達している。当面は上値の重い展開が続きそうだ」(エネルギー・金属鉱物資源機構・白川裕調査役)。

ヘンリーハブ価格の下落に伴い、米国産LNGの輸出価格も低下しており、現状は世界の主要輸出国の中でも最も安価な水準となっている。

(2024年2月9日配信)

2月6日 東証後場 三菱重工業の株価が昨日の1万円初登頂に続いて一段高となった。この日午後、同社は3月末割り当てで株式1株を10株に分割すると発表。合わせて発表された今2024年3月期第3四半期連結決算は、売上高が前年同期比11%増、純利益は同倍増となるなど好調ぶりが明らかになった。通期の受注見通しを6兆円とし、従来予想に4000億円上積みした。これら大幅な株式分割と好調な業績動向が素直に好感され、買いが買いを呼ぶ好循環となっている。

同社株は1年前の2月には5000円前後で推移しており、そこから株価水準はちょうど2倍になっている。

(2024年2月6日配信)

1月31日 サウジアラムコがこのほど日本のLPガス輸入事業者に通知したプロパン2月分出荷価格(サウジ2月CP)は、前月比10ドル値上がりして630ドルとなった。値上がりは昨年8月分(470ドル)以降、12月分の変わらずを挟んで8カ月連続。

LPガス市況に影響する原油市況が、12月初旬を底に水準を切り上げているほか、世界最大のLPガス輸出国である米国において、プロパン在庫の取り崩しが進み、市況が上昇したことが背景にある。米国ではLPガスの一大輸出地域であるメキシコ湾で濃霧が観測されており、輸出作業への影響も警戒されたという。サウジCP2月ブタンも、前月比10ドル値上がりして640ドルとなった。

(2024年2月1日配信)

1月26日GENIX-CN70は前週比0.64ポイント値上がりして169.36ポイントとなった。7週間連続の上昇で、3週続けて統計開始来の最高値を更新した。一方、東証株式市場全体としては、このところの上げピッチの速さから利食いが広がり、東証株価指数(TOPIX)は7週ぶりに値下がりした。

GENIX-CN70の構成銘柄で値上がりが目立ったのは、25日に2023年12月期決算を発表したHIOKI。24年12月期も増収増益を見込み、配当金を年200円に連続増配する方針が好感されたようだ。

このほか、三菱重工業、三菱化工機が高値圏で頑強な値動き。SMBC日興証券が目標株価を引き上げたウエストホールディングスも下値を切り上げている。

(2024年1月26日配信)

 欧州パイプラインガス先物価格が17日、百万BTU(英国熱量単位)当たり8ドル台まで下落し、昨年8月以来の安値水準となった。北東アジアLNGスポット価格も続落しており、17日は昨年6月以来の9ドル台を付けている。先物の決済期日が2月から3月に移り冬場の需要期を過ぎることで、足取りが弱くなっている。昨年の安値は欧州ガス先物価格が7ドル台、スポットLNGは8ドル台だった。

 当面の市況動向についてエネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は、「カタールから欧州にLNGが年間1500万トン供給されており、スエズ運河の通航リスクが警戒されているものの、それでも欧州の在庫水準が依然として高いため、中東からの輸送に支障が生じても当面の供給は何とかなると見られている。昨年10月から輸出を再開したエジプトLNGもまだ量は少ないとはいえ心理的な支えになっている。不需要期の相場は数年前なら3~4ドルもありえたが、安価になったスポットLNGを中国が仕込む動きも見られるため、今回はそこまで下がらないだろう」とする。また、「足元のスポット需要は弱いが、供給力に余裕があるほどの状況でもない。幸いにして供給設備のトラブルは昨年から起きていないが、いつ起きても不思議はない。先行きを楽観視するわけにはいかない」と指摘する。

(2024年1月18日配信)

東京株式市場は年末・年始と値上がり基調を強めており、GENIX-CN70も12月15日から1月12日終値まで5週連続で上昇した。1月12日の終値は167.67ポイントとなり、昨年9月15日にマークした指数算出以来の最高値165.83ポイントを4カ月ぶりに更新した。

GENIX-CN70構成銘柄では、商社株の値上がりが目立ち、伊藤忠商事、住友商事が最高値を更新。海運株も高値圏でしっかり。個別銘柄では、三菱重工業、愛知時計電機が最高値を付けた。本日午前、2024年8月期第1四半期決算を発表し、大幅な増収増益が確認されたウエストホールディングスが急伸した。

(2024年1月12日配信)

中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)1月分は、プロパンが前月比10㌦高い1トン620㌦。ブタンも同じく10㌦値上がりして630㌦となった。小幅高ながら、極東マーケットは足元で強弱感が交錯しており、先行きの方向感は乏しい状況。米国のプロパンスポット市況(モントベルビュー)は12月分が1トン357㌦と、前月から約25㌦値上がりした。依然として近年の安値圏での値動きではあるが、市中の在庫水準は過去5年平均並みまで減少しており、底堅さも見られる。

(2024年1月10日配信)

1月5日 2024年の年明けの東京株式市場は、能登半島地震を受けて4日の大発会は売り物先行でスタートしたが、新NISA開始に伴う投資資金流入などによる先高期待から押し目買いが優勢となり、結局、東証株価指数(TOPIX)は4日、5日と続伸した。

GENIX-CN70も12月最終週に続いて上昇し、5日終値は164ポイントと、5週ぶりに160ポイント台を回復。昨年9月15日にマークした最高値165.83に急接近した。指数構成銘柄では、大阪ガスが大幅高となり、5日に一時3111円まで上昇。12月13日に付けた最高値3077円を上回った。4日以降終値ベースでも初めてとなる3000円台を維持している。このほかでは、海運株が人気を集めており、日本郵船、商船三井が最高値を更新した。

(2024年1月5日配信)

12月29日 東京証券取引所最終売買日(大納会)は、今年1年の相場を象徴するような堅調な展開だった。その中でGENIX-CN70は前週に続いて上昇し、3週連続高で今年を締めくくった。GENIX-CN70の年間騰落率はプラス25%となり、東証株価指数の上昇率と互角の好成績だった。

GENIX-CN70構成銘柄の中で値上がりが目立ったのは、川崎汽船、日本酸素、栗本鉄工、愛知時計電機、関電工など。一方、不調だったのは、イーレックス、レノバ、テスHD、ウエストHDなどだった。なお12月末割り当てで、京セラが1株を4株、三菱商事は1株を3株に株式分割した。GENIX-CN70もこれに合わせて、株式分割の影響を考慮した修正株価指数を算出している。

(2023年12月29日配信)

12月22日 GENIX-CN70は前週に続いて上伸した。全般は高安まちまちだが、値がさ株の海運3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)がそろって本年高値を更新し、CN70を押し上げた。また、工場新設で恩恵を受ける理研計器が12月20日上場来高値を更新した。

海運株が動意付いたのは先週末。紅海で武装組織による商業船への攻撃が相次いだことで、海運会社がスエズ運河の航行を見合わせ、迂回経路による輸送距離の延長などで海運市況が上昇するとの思惑が働いた格好。海運株はコロナ禍前後の市況高騰局面で株価が5倍以上に跳ね上がっており、その記憶がまだ新しいだけに思惑が先行しやすいようだ。

(2023年12月22日配信)

12月15日 GENIX-CN70は3週ぶりに反発した。指数構成銘柄では、理研計器の株価が13日に上場来高値を更新。大阪ガスも同日最高値を更新し、未踏の3000円台に一時到達した。

岩谷産業の株価はコスモエネルギーホールディングスの筆頭株主になると発表した12月1日以降、大きく値下がりしたが、15日終値は7日ぶりにプラスに転じた。

14日に一時5996円まで下げ、4月初旬以来8カ月ぶりとなる6000円大台割れを見たことで、値ごろ妙味が台頭したようだ。9月高値からこの安値までの下落率は26%に達し、一株当たり純資産5249円も意識される水準となっていた。チャート面から当面の戻りめどを探ると、25日移動平均線の6866円、9月高値から直近安値までの下げ幅の半値戻し6770円など、6800円あたりが意識されそうだ。

(2023年12月15日配信)

12月13日 GENIX-CN70構成銘柄の大阪ガスが4日続伸し、一時3077円の高値を付けた。3000円台に乗せたのは上場来初。12日大引け後に、日本経済新聞が「伊藤忠と大阪ガス、世界最大級の水素生産に最大4割出資」と報じ、これを材料視する買い注文が朝方から集まった。

株価は11月初旬、自社株買いの発表を契機に大きく上放たれ、過去16年来の上値抵抗線となっていた2600円前後の節を突き抜けてきた直後とあって、しこり感のないチャート妙味も好感されているようだ。

12日に発表された欧州の水素企業Everfuelのニュースリリース

(2023年12月13日配信)

12月8日 GENIX-CN70は前週に続いて下落した。急速な円高進行や世界的な景気減速懸念を受けて、東京株式市場はこの日、ほぼ全面安となった。GENIX-CN70構成銘柄にも利益確定の売りが先行した。中でも、原油先物市況の下落を受けて、石油、造船、商社、海運株などが大きく値を下げた。

12月1日引け後にコスモエネルギーホールディングス株式大量取得を発表した岩谷産業は、週明け4日から株価が大きく下げ、発表前の終値7141円から8日安値6388円まで5日間で10%を超える下げとなった。9月の本年高値8040円からの下落率は20%に達している。アナリストからは「コスモエネ株取得に1千億円を超える大金を投じることについて、どのようなリターンを見込んでいるのか、できる限り定量的な説明が欲しい。株価の下げは合理的な反応。投資家は追加情報を待っている」との声が聞かれる。コスモエネ株が取得価格を割り込んでいることも嫌気されているようだ。

(2023年12月8日配信)

米原油先物価格(WTI)は12月6日、前日比2.94ドル安の69.38ドルと5日連続で値下がりした。節目と見られた1バレル70ドル台を5カ月ぶりに割り込んだ。9月に付けた本年高値93.68ドルからの下落率は26%に拡大するなど下値を模索する動きとなっている。

注目された11月30日のOPECプラス会合は、各国から自主減産(来年1~3月期に日量約220万バレル)が発表されたものの、想定の範囲内と受け止められたようで、相場の下落基調を反転させるには至らなかった。

相場が弱含んでいるのは、世界的な景況悪化に伴う需要減少への警戒があると見られる。「不動産不況が続く中国経済の停滞や、ここまでの利上げで減速が見込まれる米国景気などを考慮すると石油需要は伸び悩み、自主減産してもなお需給は引き締まらないのではないか」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部芥田知至シニアアナリスト)との指摘がある。当面は今週末発表される米雇用統計をはじめ、主要な経済指標を横目にみながら神経質な値動きが続きそうだ。

(2023年12月7日配信)

12月1日 岩谷産業(GENIX‐CN70構成銘柄)はこの日、コスモエネルギーホールディングスの株式を追加取得すると発表した。旧村上ファンド系と見られる既存株主から計約1740万株を1053億円で取得する。取得済みの持ち株と合わせた保有比率は19.93%となり、同社の筆頭株主になる。

1株当たりの取得価格は約6051円で、この日の東証終値5616円を約8%上回るが、価格の算定根拠については明らかにしていない。今後については、「より一層連携を深め、新たなシナジーを創出する」としているが、具体的な方向性はまだ示されていない。また、今3月期連結業績への影響については「精査中」としている。

サウジCP12月分は、前月と同価格の1バレル610ドル、ブタンも変わらずの620ドルとなった。

(2023年12月1日配信)

11月24日 東京証券取引所で三菱重工業(GENIX‐CN70構成銘柄)の株価が前日比529円高と大幅続伸し、およそ2カ月ぶりに8800円台まで水準を切り上げた。

同社は11月22日に防衛事業説明会を開催し、来年度からの3カ年は防衛力整備計画の大幅な拡充を受けて同社の事業規模は2倍以上になると発表した。過去長期にわたり同事業規模は5,000億円弱で推移していたが、来年度からの3カ年は1兆円規模になるとした。祝日をはさんでこの日は朝方から買いが先行、業績拡大への期待感を織り込む動きを見せた。株価が1万円に近づいていることから、株式分割を催促する値動きにも映る。

ガスエネルギー新聞が注目する同社のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みも続いている。弊紙11月20日付では三菱重工エンジン&ターボチャージャの「水素混焼50%で安定燃焼、5700キロワット級ガスエンジン」を技術面トップで紹介している。また、同日付紙面には「水素特集」を掲載しており、三菱重工の高砂水素パークなどを詳しく紹介している。

(2023年11月24日配信)

11月14日の東京証券取引所で大阪ガスが4日続伸し、ザラ場の高値は2920.5円まで買い進まれた。11月7日にマークした上場来高値2914.5円を5営業日ぶりに更新した。10月27日発表の中間決算が好感されているほか、同日発表の自社株買いも歓迎されているようだ。マーケットでは、大阪ガスの株価格付けを従来から「買い」としていたみずほ証券が、目標株価を2600円から3300円に引き上げたとの情報もこの日伝わった。

大阪ガスの株価をローソク足(日足)で見ると、11月9日から10日にかけて、さらに10日から13日、13日から14日にかけても連続して窓「空」ができた。4本の陽線と「三空」で形成される高値圏でのこの形は「三空踏み上げ」と呼ばれ、チャートを投資判断のよりどころとする投資家は、空売りを仕掛ける急所とみる。同社株の信用買い残は、売り残が買い残を超過した状態にある。確かに目先は急伸した後だけに強弱感が対立しやすい場面と言えるが、この日の株価は株価純資産倍率が0.7倍台と依然として割安な状態にあることから、むしろ売り方の手仕舞い(買い戻し)による一段の上昇を読む向きもある。

関連記事 大阪ガスが上昇率首位、愛知時計は最高値を更新/GENIX―CN70 - ガスエネルギー新聞 (gas-enenews.co.jp)

(2023年11月14日配信)

 11月2日のGENIX‐CN70は3週ぶりに反発した。自社株買いを発表した大阪ガスが急伸し、最高値を更新したほか、業績好調の日本酸素、愛知時計も高値を更新した。

 中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)の11月分は、プロパンが1トン当たり前月比10㌦値上がりして610㌦(前月比1.67%高)となった。ブタンは同5㌦値上がりして620㌦(同0.81%高)。プロパン、ブタンともに4カ月連続で値上がりした。

 LPG市況に影響を与える原油相場の値動きはこのところ重くなっているが、LPG市況はこれから需要期を迎える季節性もあって、先高観が根強いようだ。日本向け米国産LPGの航路に当たる中南米パナマ運河が、渇水の影響で渋滞解消に時間がかかるとの見通しも強気の見方を支えているようだ。

 CPのこの1年間の価格推移を振り返ると、プロパンは2月に790㌦のピークを迎え、その後は大きく値下がりして、7月に400㌦のボトムを付けている。ブタンも同様に2月の790㌦でピークを打ち、7月には375㌦の安値を付けている。

(2023年11月2日配信)

10月27日 GENIX-CN70は前週末終値から0.2ポイント下落して155.81と2週連続で下落した。東証株価も0.06ポイント下がって142.76となった。

10月以降、株式市場は調整色を強めており、9月最終週との比較ではGENIX-CN70、東証株価ともに約3%下落している。

GENIX-CN70の構成銘柄のうち9月末比で上昇したのは全体の2割16銘柄にとどまる。その中で愛知時計が本年高値を更新したほか、日本酸素、栗本鉄工、川崎汽船などが高値圏で頑強な値動きを見せている。

(2023年10月27日配信)

10月19日の米原油先物(WTI)価格は3日続伸。中東地域の紛争拡大への懸念が市況を押し上げた。

国際ガス市況も値上がりしており、欧州パイプラインガス先物価格(TTF)は13日に百万BTU(英国熱量単位)当たり16ドル台、スポットLNG価格は18日に19ドル台へと上昇している。

イスラエル沖の海洋ガス田(タマル)が操業を停止したと報じられており、このガスを原料とするエジプト産LNGの出荷に影響が及ぶ恐れが指摘されている。

(2023年10月20日配信)

 10月9日の米原油先物(WTI)市況は2日続伸し、1バレル前日比3.59㌦高の86.38㌦に上昇した。6日の米雇用統計は市場の予想を上回る数値で、長期金利上昇を促したが、原油市場は底固い動きを見せた。そこに、イスラエル・パレスチナ間で大規模な武力衝突が発生。中東の地政学的リスクが高まったことで、買い気が優勢となったようだ。また、本年高値を付けた9月27日以降の下げが急だったこともあり、買い戻しも入りやすかったと見られる。

 一方、連休明け10月10日の東京株式市場は、朝方から買い戻しの動きが広がりほぼ全面高でスタート。GENIX‐CN70構成銘柄もこのところ下げがきつかった石油株などが買い気配で始まるなど総じてしっかりした動き。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部の芥田知至主任研究員は当面の原油相場について、「今回の武力衝突にイランの関与があるのかどうかなど中東情勢には不透明な部分があり、不安定要素が増えた格好だ。他方、このところの米長期金利上昇やドル高が原油相場を下押しするとの見方や、米欧の金融引き締め効果で石油需要が鈍化するとの懸念も根強い。さらに中国の不動産不況、全米自動車労組(UAW)のストライキ、米予算審議の難航なども需要を鈍化させる要因として意識されている。当面は地政学的リスクや需給などの強弱材料が交錯する中で、不安定な推移が見込まれる」としている。(了)

(2023年10月9日配信)

米原油先物が10月4、5日と続落し、1バレル82㌦台まで下落、8月30日以来の安値水準となった。4日は下落率が5・61%に達する大幅な下げで、下落率が5%を超えるのは5月2日以来5カ月ぶり。9月27日に付けた本年高値93・68㌦から5日までの下落率は12%強に広がった。市場では、米ガソリン在庫の急増や強含んでいる長期金利の動向を警戒。今晩の米雇用統計の発表を注視している。

一方、米天然ガス先物(HH)価格は3日続伸し、今年3月以来となる百万BTU(英国熱量単位)当たり3ドル台に乗せてきた。

(2023年10月6日配信)

米原油先物が10月4日、前日比5.01㌦安の1バレル84.22㌦と急反落し、8月31日以来の安値水準に後退した。1日の下落率の大きさは5.61%に達した。5%を超える大幅な下げは5月2日の5.29%以来、5カ月ぶり。市場では、同日発表された米石油在庫統計でガソリン在庫の急増が明らかになり、これが利益確定売りを誘ったとの見方が出ている。

JOGMECの首席エコノミスト・野神隆之氏は、「統計で明らかになった米ガソリン需要の低迷は、この時期としては2000年以来の低水準。他にもロシアの軽油輸出禁止の一部解除検討の報道、サプライズのないOPECプラス産油国共同閣僚監視委員会の内容などの弱気材料がそろって現れた。このため、市場は狼狽売りの様相を呈しているが、今年第4四半期に供給不足に陥るとの認識に変化はなく、市場のセンチメントが根本的に変化したとは言い切れない。原油市況は売られ過ぎ気味の領域に入りつつあり、値頃感から買い戻しが発生しやすい状況ではあるが、まずは明日6日発表予定の米国雇用統計が注目される」としている。

10月5日の東証は朝方、昨日までの大幅安に対する自律反発の動きとなり、TOPIXが6日ぶりに反発するなど全般に買い物優勢の始まりとなったが、原油の急落を受けて、GENIX‐CN70構成銘柄のINPEXや石油資源開発など石油関連株は売り気配のスタートとなった。

(2023年10月5日配信)

中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)の10月分は、プロパンがトン当たり前月比55㌦値上がりして600㌦(前月比9.09%高)、ブタンは同50㌦値上がりして 615㌦(同9.82%高)となった。プロパン、ブタンともに3カ月連続で値上がりした。背景には原油市況の上昇が指摘されている。

(2023年9月29日配信)

東証9月28日前場の寄り付きは、GENIX‐CN70構成銘柄のINPEX、石油資源開発、日揮など石油株が大幅高でスタートした。朝方は全般に利益確定売りが先行する中で、石油関連株の値動きの強さが目立った。石油資源開発は2008年以来、13年振りとなる6000円台に到達した。

 前夜27日の米原油先物(WTI)価格は前日比3.29㌦値上がりして1バレル93.68㌦となり、7営業振りに今年の高値を更新した。また、当面の戻りのめどと見られていた昨年10、11月に付けた92㌦台の高値を一気に上抜いてきたことで、市場関係者の間では先高ムードが一層強まっている。

(2023年9月28日配信)

9月22日の東証株価は前夜の米国株式下落を受けて、朝方から売り先行で始まった。GENIX-CN70構成銘柄も商社、海運株など総じて下落した。半面、INPEX、石油資源開発、ENEOSなど石油株の一角は底固い動き。GENIX-CN70は前週末比2.08ポイント下落して164.04ポイントと5週ぶりに下落した。

21日の米原油先物市場は、米金融政策の引き締め長期化懸念が台頭し、利益確定売りに押された。期近終値は前日比0.65㌦安い89.63㌦と、3日続落し、6営業日ぶりに1バレル90㌦台を割り込んだ。

9月25日付紙面の関連記事「原油100ドルが視界に サウジ減産の影響を注視」

(2023年9月22日配信)

9月14日の米商品先物市場では、原油先物(WTI)価格が2日ぶりに反発し、終値は前日比1.64㌦値上がりして1バレル90.16㌦と、当面の節目と見られていた90㌦大台を突破した。90㌦に乗せるのは2022年11月7日の91.79㌦以来、10カ月ぶり。市場関係者の間では、原油需給の引き締まり感から先高を予想する声が強まっている。

原油市況の上昇を受けて、15日の東証ではGENIX-CN70構成銘柄のINPEX、石油資源開発、日揮、ENEOS、三井物産、三菱商事といった、石油やエンジニアリング、商社など資源関連株が一斉に買い進まれた。INPEXは2008年以来、この週急伸した日揮は2018年以来の高値水準。

(2023年9月15日配信)

9月13日の東京証券取引所では、朝方からINPEX、石油資源開発、ENEOSなどGENIX-CN70構成銘柄の石油株が買い先行でスタートし、本年高値を更新した。前夜12日の米原油先物価格(期近終値)が前日比1.55㌦高の1バレル88.84㌦と反発し、約1週間ぶりに本年高値を更新したことが買いの手掛かりになっていると見られる。

原油市場では需給に引き締まり感が指摘されるなど、市況は当面強含むとの見方に傾斜しているようだ。ENEOSのこの日の株価は4年8か月ぶりとなる600円台を目前に捉えている。INPEXは2008年10月以来、石油資源開発は2009年6月以来の高値水準に来ている。

米原油先物は2008年に145㌦の最高値を付け、2011年から2014年にかけて100㌦前後で推移していた。最近の石油株は原油100㌦時代の再来をあたかも織り込むかのような値動きを見せている。

(2023年9月13日配信)

9月8日の東京株式市場は、前夜の米国株式市場の下落を受けて、朝方から利益確定売りが先行する展開となったが、この週のGENIX-CN70は前週末比1.67ポイント上昇して161.86と3週連続値上がりし、前週に続いて指数算出以来の高値を更新した。この週は三菱重工、川重重工、三井物産、石油資源開発などが指数をけん引した。

原油先物価格(米WTI)は9月7日、前日比0.67㌦安い1バレル86.87㌦と、10日ぶりに値下がりし、前日まで値上がりが目に付いたINPEX、石油資源開発、日揮、ENEOS、三井物産、三菱商事などの資源関連株には利食い売りが広がった。

また、個別では、このところ物色人気を集めていた三菱重工も6日ぶりに反落した。半面、三菱重工の急上昇に対して出遅れ感が台頭していた川崎重工はこの日も買いが途切れず逆行高、10連騰となった。

三菱重工の本紙最新ニュース:長崎で脱炭素基盤技術 既存拠点連携し開発推進/三菱重工

川崎重工の本紙最新ユース:世界初ドライ式水素タービン、NOx抑制と高効率を両立/川崎重工
(2023年9月8日配信)

市況情報

【コージェネ特集2024】多角的価値をコージェネレーションで

【コージェネ特集2024】多角的価値をコージェネレーションで

エネルギーは、脱炭素社会構築、ウクライナやガザでの戦争影響による供給面、価格面のリスクへの対応、激甚化、頻発化している災害に対する強じん性向上など、多様な価値の提供を求められている。その中で、化石燃料の中で最もクリーンな天然ガスを使い、高効率に発電し熱も使えるガスコージェネレーションが多角的な価値を持つ機器として注目されている。2024年のコージェネ特集では、エネルギー政策上の位置付けや日本ガス協会の取り組み、先進事例などを紹介する。

◇エネ・環境政策上の意義/省エネでエネ高騰に耐性

国際紛争の長期化等によるエネルギー価格高止まりの懸念から「省エネ」への期待が高まっている。政府は、昨年11月に閣議決定した「総合経済対策」で省エネ等を推進し、エネルギー価格高騰を含む輸入インフレへの耐性を強化する方針を打ち出した。経済産業省は2023年度補正予算に盛り込んだ「省エネ支援パッケージ」で、コージェネレーションを含む事業者の省エネ投資の促進策を明確にした。資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課熱電併給推進室の赤松徹也課長補佐に話を聞いた。

赤松補佐は、コージェネのエネルギー政策上の位置付けについて①エネルギーの効率的な利用②電力供給システムへの貢献③水素・アンモニア・e―メタン(e―methane)社会実装時の水素等の効率的利用による脱炭素化への貢献――などを期待しているという。

①の省エネについては、「電気料金・ガス料金などが高止まりしている。いかに輸入燃料価格の高騰に対して強い経済構造を作るかがエネルギー政策的にも経済政策的にも大きな課題」と指摘する。省エネ支援パッケージは、事業者向けには「省エネ設備への更新支援」と「省エネ診断」がある。前者の柱が省エネ補助金で、今後3年間で約7千億円規模の支援を行う。「脱炭素につながる電化・燃料転換」を促進する類型も新設した。高効率コージェネも省エネ補助金の対象施設となる。公募期間は3月27日~4月22日。家庭向けについては、国土交通省、環境省と連携した住宅省エネ支援の一環としてエネファームも補助。赤松補佐は「産業部門と家庭の両方で、コージェネを使って省エネを進めていきたい」と意欲を示す。

②の電力システムへの貢献としては、▽調整力▽レジリエンス(強じん性)▽エネルギーの面的利用▽地産地消――という点での期待があるという。エネルギー政策の柱である「再生可能エネルギー主力電源化」に向け、太陽光発電、風力発電なども含め再エネの増加は今後も見込まれる。また地産地消で再エネを活用する動きもさかんになりそうだ。そこで再エネの出力変動を念頭に置いた調整力としてコージェネの役割があるという。

「コージェネなどは電力需給調整市場を通じて、調整力として活用されることが期待される。その際、いかに再エネを優先して消費するかという観点で、コージェネが最適な形で導入できるかどうかがポイントだ」と指摘する。デマンドレスポンス(DR)などの技術の進展で、今後拡大が見込まれる分野だ。

18年の北海道胆振東部地震では官民複合施設「さっぽろ創世スクエア」のコージェネが帰宅困難者等に電気を供給し、19年9月の台風15号の影響で起きた停電の際には、千葉県睦沢町にある「むつざわスマートウェルネスタウン」では、コージェネで地域に電気と熱を供給した。赤松補佐は「災害時のレジリエンス向上に向けて、コージェネの役割は今後も変わらない」という。

③の水素・アンモニア・e―メタンについては、「脱炭素社会やカーボンニュートラル(CN)社会を目指すなかで、水素などを早急に社会実装し、それらの燃料の価格を下げていくための取り組みは、今国会に提出された『水素社会推進法案』等を通じて行っていく。その際にそれらの燃料を利用する機器を普及させるという観点も必要になってくる。CN型の燃料を導入していく上でも、それらを効率的に利用したり、それらの機器を使って建物や地域の強じん性を上げたり、そうした取り組みは引き続き必要で、新しい燃料が普及していった先にもコージェネには役割がある」と指摘している。

【コージェネ特集2024】エネ庁福田光紀ガス市場整備室長に聞く/GX移行の代表的機器都市ガスCN化の議論本格化

省エネや国土強じん化など多様な価値を持つコージェネレーションを、エネルギー供給面から支えるのが都市ガスだ。都市ガスは、政府のGX(グリーントランスフォーメーション)推進の方向性にしたがって、「都市ガスのカーボンニュートラル(CN)化」が検討されている。資源エネルギー庁の福田光紀ガス市場整備室長に話を聞いた。

◇◇◇◇◇

――エネルギー政策あるいはGX政策におけるガスコージェネレーションの位置付けは。

「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」(GX経済移行戦略)は、2050年CN、エネルギーの安定供給を確保しながら、日本の経済成長も同時達成していく考え方を示している。その中で、天然ガスの重要性についても明記している。

天然ガスは化石燃料の中で二酸化炭素(CO2)の排出量が最も低く、CN化に向けたトランジション期(移行期)に、産業部門の電化が難しい領域の脱炭素化の役割が期待されている。特に石炭等からの天然ガス転換の必要性が高い。天然ガス化に当たり、高効率な利用機器も導入促進すべきで、コージェネはそうした高効率機器の代表選手と言える。

――日本の温室効果ガス排出量は「50年CN化」に向け着実に下がっている。省エネが功を奏しているのではないか。

排出量低減の要因は政府全体で検証し、次に生かしていくものだと思うが、公表データを見ると、着実に対策は進んでいるように見える。ただ、ここから一歩一歩、さらに対策を進めなければならない。今CN化できていない分野でも投資を促していかなければならない。

当庁で進めている省エネの補助金などにより、民間企業等の高効率設備の導入を後押ししたい。特に旧型で非効率な設備を使い続けている事業者の方々には、コスト面の改善にもつながる省エネ投資を継続的に進めていただきたい。さらに石炭を使っている事業者の方々には、足元だけでなく長期的に見て、天然ガスを入れることで将来のCN化につなげられることを知っていただくことも大事だと思っている。このような機会を積極的につくっていきたい。

――「都市ガスのCN化」を、総合資源エネルギー調査会のガス事業制度検討ワーキンググループで検討中だ。趣旨と見通しについて。

CN化の全体における「都市ガスの担うべき役割」がそもそもの論点だ。需要家がCN化を進めるために、都市ガスも非化石燃料化、脱炭素化していく必要がある。そのために必要な仕組みをガスWGで議論している状況だ。

都市ガスCN化の手段には、例えばバイオガスやe―methane(e―メタン)などがあるが、それを例えば国内で製造するのか、海外から持ってくるのか、その製造手法、供給体制はどうなのかを踏まえ、最適な形で環境を整備していくことが重要で、そのために政策的に必要なものを議論している。

――ロシアのウクライナ侵攻から3年目になった。日本の天然ガス調達についても影響を受けたことで、さまざまな対策を行った。

天然ガスの安定供給がやはり大事だ。実態として日本では天然ガスの大部分を海外から輸入しているので、安定調達のための体制づくりは重要だ。資源エネルギー庁として、供給源の多角化や産ガス国との資源外交などを通じた関係強化などを進めている。

一昨年、ガス事業法を改正し、さまざまな体制、仕組みをつくった。経済安全保障推進法に基づく「戦略的余剰LNG」確保にも動いている。これらを一つ一つ積み上げて、官民で天然ガスの安定供給の体制構築を進めていきたい。

――政府の「防災・減災、国土強じん化のための5カ年加速化対策」にも位置付けられている。

20年に策定された5カ年加速化対策において、災害から国民を守る対策として、避難所等に災害にも対応できるコージェネ等の設備を導入するための費用を一部補助する事業が位置づけられている。

自治体と連携して、災害時に避難所等として活用可能なホテルや商業施設などの民間施設、また、学校などに対して停電対応型コージェネやGHPなどの導入を支援するもので、23年度補正予算および24年度予算案において「災害時の強じん性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金」を計上し、5カ年加速化対策の「25年度までに780カ所」目標の達成に向け着実に導入が進められている。

停電時でも、ガスの供給が継続されていれば、コージェネを設置している場所で電気と熱が両方使える。複数のエネルギーを確保しておくことで、災害時に避難所等で生活に必要なエネルギーが確保できることが非常に重要である。ガス事業者、自治体、民間事業者などと連携して、施策を周知していきたい。

――コージェネ普及に関するガス事業者への期待は。

ガス事業者は地域に根差した産業の重要なプレーヤーだと考えている。すでに地域のニーズに応じたさまざまなサービスが展開されており、もっと多くのことができる可能性を秘めているとの期待もある。エネルギーの安定供給の確保、脱炭素も含めて持っておられるノウハウを地域で展開してもらえると思っている。

自治体がコージェネを設置しつつ、「ZEB(ネットゼロエネルギービル)Ready」の認定を受け、脱炭素化と強じん化を両立させる取組を進めているとの事例も聞いているが、こうした取り組みを含め、ガス事業者と地域の自治体や企業が連携することで、よりさまざまな取り組みが進む可能性があり、大いに期待している。

――コージェネのような分散型電源は、再生可能エネルギーとの親和性が高い。

ガス事業者に対しては、再エネ発電の立地や運営という観点からの期待、コージェネなどの分散型エネルギーの推進や運営という意味の期待もある。また、今後は都市ガスを供給している事業者だからこそ持つ、地域のバイオガス活用や、エネルギー機器運用のノウハウを生かした省エネサポートなど活躍の領域を広げてほしい。その中にコージェネもしっかり取り入れて、地域での最適な活用を推進していただきたい。

コージェネレーションガスエンジン、ガスタービン、燃料電池などで発電し、排熱も活用して高い総合エネルギー効率を実現するシステム。総合効率は75~80%で最新鋭大型火力発電所よりも高い。主力の燃料は都市ガス(天然ガス)で、化石燃料の中でCO2排出量が最も少なく排ガスがクリーンという環境面の優位性などを背景に拡大中だ。

【コージェネ特集2024】ガスのレジリエンス性に注目/日本ガス協会清幹広・普及部長インタビュー

◇産業・業務とも伸びしろ、工業団地版スマエネ事例も

日本ガス協会の清幹広・普及部長はガスエネルギー新聞のインタビューに応じ、コージェネレーションシステム普及の意義や最近の市場動向などについて語った。風水害の激甚化などを背景に、ガスシステムのレジリエンス性への注目が高まっていると指摘。災害に強いまちづくりに貢献するコージェネの意義を強調した。新たな動きとして工業団地版スマエネやガスZEBなどを挙げ、産業用・業務用とも伸びしろは大きいと述べた。

――あらためてコージェネ普及の意義を。

電気と熱の両方を取り出せることによる省エネ・省CO2効果や節電効果、省コスト効果に加え、最近注目が高まっているのが、ガスシステムのレジリエンス性の高さだ。背景にはガス導管の耐震化率向上に加え、風水害の激甚化がある。

2018年の北海道胆振東部地震の大停電では、札幌市中心部の複合施設「さっぽろ創世スクエア」のコージェネが電力と熱の供給を維持し、約530人もの帰宅困難者や観光客を受け入れた。19年の台風15号による千葉県の長期停電では、睦沢町の「むつざわスマートウェルネスタウン」のコージェネが道の駅と公営賃貸住宅への電気の供給を維持したほか、周辺住民に温水シャワーを無料で提供、800人以上が利用した。千葉市の病院では、電子カルテ用のサーバーと空調がコージェネによって稼働を維持した。こうした事例が広く認知されるようになってきた。

――エネルギー政策における位置付けは。

現行の第6次エネルギー基本計画には、コージェネの価値として省エネ、(電気の需給バランスを維持するための)調整力、レジリエンスが明記されている。今年から議論が始まる第7次基本計画では、カーボンニュートラル社会の実現に向けて供給側におけるe―メタンの位置付けが重要になるが、需要側の設備であるコージェネの基本的な価値は変わらないはずだ。産業用・業務用とも、伸びしろは大きい。

――最近の新たな傾向は。

産業用では、複数の工場・事業場が連携して大型コージェネと自営線・熱導管を整備し、最適制御を行う「工業団地版スマエネ」の事例が少しずつ出てきている。熱と電気のバランスや稼働時間が異なる複数の工場の需要を束ねることで、より高効率な大型コージェネの導入が可能になり、それをより高い稼働率で運転できるメリットがある。

先駆的な事例となったのは宇都宮市の清原工業団地スマエネ事業だ。事業所単独では難しい約20%の省エネと省CO2を実現した。この事業は20年コージェネ大賞の理事長賞、21年省エネ大賞の経済産業大臣賞も受賞している。

スマエネは、もともと都市部の地域冷暖房の高度化として育ってきた技術だが、清原工業団地が高い評価を受けたこともあり、群馬県安中市の信越化学工業群馬事業所や、東京都瑞穂町と埼玉県入間市にまたがる瑞穂町地域スマートエネルギーなど、産業用でも事例が出てきている。

もう一つの話題は政府の新たな補助制度「排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業」だ。製造業からのCO2排出の7割を占める鉄、化学、紙、セメント等の原・燃料転換を支援するもので、石炭から天然ガスへの転換も支援対象となる。

こうした工場はガス導管がない郊外に立地していたり、石炭価格が安いこともあって、これまで天然ガス転換が難しかった。新たな補助制度も活用して、天然ガス転換とコージェネ導入によるエネルギー使用合理化を同時に実現する提案を進めていきたい。まずはこうした取り組みでCO2の大幅削減を図り、最終的には都市ガス原料のe―メタン化でカーボンニュートラルを実現していく。

◇「ガスZEB」全国で拡大

――業務用の話題は。

いま注目されているのは、快適な室内環境を実現しながら建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指したZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)だ。日本ガス協会では、停電対応型GHPやガスコージェネなどの都市ガスシステムを活用した「ガスZEB」を提案している。省エネ性能は電気式の空調を採用したZEBに引けを取らない上、災害時に外部からの電力供給が途絶した場合も、都市ガスが供給されていれば、停電対応型機器で最低限の電気や熱を確保でき、建物の機能維持に貢献する。

自治体の庁舎をはじめ、大型商業施設や病院、学校など全国で既に数十件のガスZEB事例があり、コージェネを採用している物件も多い。ガス協会ホームページの「ガスZEBポータル」で事例を紹介しているので、ぜひご覧いただきたい。

小型コージェネ「ジェネライト」に関しては、出荷台数の8割で停電対応型が採用されている。災害や停電のリスクに対する社会の意識は確実に高まっている。まちのシンボルになるような大きな建物にコージェネが備えられていて、いざというときには逃げ込めるとしたら、そこで働く人たちや住民の皆さんはどれほど心強いか。そういう建物は「まちの価値」を高めることにもつながると思う。

1月末に開催されたヒーバック&アールジャパン2024(第43回冷凍・空調・暖房展)では、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスと共同でガス協会も6年ぶりに出展し、ガスZEBをPRした。来場者からは「ガスでもZEBができるとは知らなかったが、災害に強いガスのメリットがよく分かった。事例も全国にあるということなので、自分たちも検討してみたい」といった声が聞かれた。こうした活動を通じて、ガスZEBの普及を後押ししていきたい。

【コージェネ特集2024】政府も普及を後押し多様な補助金、税制優遇も

脱炭素社会への移行やレジリエンス強化に貢献するコージェネレーションシステムの普及に向けて、政府も補助金や税制優遇など、さまざまな支援策を用意している。代表的なものを紹介しよう。

経済産業省は2024年度当初予算で「排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業」を創設する。GX経済移行債を活用し、鉄、化学、紙、セメント等の排出削減が困難な産業における原・燃料転換などのCO2削減事業を支援する。石炭等を燃料とする自家発電設備やボイラー等の天然ガス転換も支援対象となり、大規模コージェネレーションシステムの導入に活用できる。補助率は3分の1等。

24年度当初予算額は327億円を計上。28年度までの5カ年事業で、5年間の支援見込み額は総額4844億円とされている。これを呼び水として今後10年間で官民投資8兆円、国内排出削減4千万㌧以上を目指している。

「災害時の強じん性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金」(強じん化補助金)は、災害時にも対応可能な停電対応型のガス空調やコージェネなどの導入を支援する。支援対象は、中圧導管または耐震性を向上させた低圧導管でガス供給を受けており、災害時に避難所や防災拠点となる施設など。23年度補正予算で13億円、24年度当初予算で8億円の計21億円が計上されている。

補助率は、大都市・地震エリアの中圧供給施設が2分の1、それ以外の中圧・低圧供給施設は3分の1。23年度補正で59カ所、24年度当初で44カ所の設備導入を目指す。

22年度第2次補正予算に続き23年度補正でも措置された「省エネ支援策パッケージ」は、全ての類型で事業期間が複数年化され、複数年にわたる事業を切れ目なく支援できるようになった。3年間で総額5千億円とされた予算規模も、経済対策として7千億円に拡充。また、工場・事業場全体で大幅な省エネを図る類型1「工場・事業場型」、リストから選択する機器への設備更新を補助する類型3「設備単位型」に加え、より低炭素な燃料への転換や電化を伴う機器への設備更新を補助する類型2「電化・燃転型」が新設された。省エネ機器への更新を支援することで、エネルギーコスト高への対応とカーボンニュートラル対応を同時に進める。

類型1では先進・オーダーメード型コージェネや工業炉など、類型2では燃料転換を伴う高効率なコージェネや工業炉など、類型3では高効率なコージェネやガス空調が対象になる。類型1の補助率は中小企業が2分の1(先進設備の場合は3分の2)、大企業が3分の1(同2分の1)で、補助上限は各年度15億円(非化石転換要件を満たす場合は同20億円)。類型2の補助率は2分の1、補助上限額は3億円(電化機器の場合は5億円)。類型3の補助率は3分の1、補助上限額は1億円。一部の類型ではGXリーグへの参画などが要件となる見込みだ。

環境省の「工場・事業場における先導的な脱炭素化取り組み推進事業」(SHIFT事業)は、23年度補正予算と24年度当初予算の合計で約73億円が計上された。CO2削減目標および計画を策定し、設備更新と電化・燃料転換と運用改善を組み合わせて実施する先導的な脱炭素化の取り組みを支援する。補助対象設備は空調設備、給湯器、コージェネ、冷凍冷蔵機器、エネルギー管理システムなど。

このうち「CO2削減計画策定支援」は中小企業等が対象で補助率は4分の3、補助上限は100万円(CO2排出を見える化する「DX型計画」は200万円)。「省CO2型設備更新支援」は、標準事業が補助率3分の1で補助上限1億円、大規模電化・燃料転換事業が補助率3分の1で補助上限5億円。中小企業事業は、CO2削減量に応じた額もしくは補助対象経費の2分の1のいずれか低い額を最大5千万円まで支援する。

また「企業間連携先進モデル支援」は、サプライチェーン全体のCO2排出削減に取り組む企業が主導して、複数のサプライヤー等の工場・事業場を対象とした削減計画の策定・設備更新・実績評価を2カ年以内で行う取り組みを支援する。補助率は、大企業が3分の1、中小企業が2分の1で、補助全体の上限は5億円。

税制優遇では「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」が用意されている。生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備を導入した企業が、炭素生産性の向上率などの要件(中小企業は3年以内に10%以上、大企業は同15%以上)を満たした場合、最大14%の税額控除(中小企業の場合。大企業は同10%)または50%の特別償却を適用できる。

対象設備はコージェネのほか工業炉やボイラーなど。措置対象となる投資額は最大500億円。当初は24年3月末までの時限措置とされていたが、28年度末まで適用期間が延長された。

【コージェネ特集2024】導入事例(1)

事業継続計画(BCP)向上やさらなる省エネを目的としたコージェネレーションシステムの導入や更新が増加している。最新の例を紹介する。

〇8千キロワットガスタービンを導入、コスト削減と省エネを両立/モメンティブ太田事業所

シリコーン関連製造の「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン」(東京都港区)は、同社太田事業所(群馬県太田市)に8千キロワット級ガスタービンコージェネレーションシステムを導入し、2022年11月に運用を開始した。エネルギーコスト低減と省エネと二酸化炭素(CO2)削減が導入の目的だ。約15%の省エネ、さらに災害時の強じん性(レジリエンス)向上も実現する。太田都市ガスの100%子会社「太田エナジーサイエンス」(OES)が提供するエネルギーサービス(ES)を利用している。

同社は米国ニューヨーク州にグローバル本社を置く世界的化学メーカーであるモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズのグループ会社だ。同社が提供するシリコーンは、自動車やスマートフォン、電気・電子などさまざまな分野で利用される。1974年に操業を開始した太田事業所は、顧客の用途に応じて加工した約4千品種のシリコーンを生産するのが特徴だ。同事業所は定期メンテナンス期間を除き、24時間休むことなく操業している。

導入したエネルギー設備は川崎重工業製の8千キロワット級ガスタービンコージェネ「PUC80D」や追いだきボイラーなど。発電効率は33%、熱利用を含む総合効率は85%。シリコーンの製造工程では、大量の熱(蒸気)を消費する。同事業所ではコージェネの排熱と追いだきボイラーで製造した蒸気で、必要な全量を賄う。

一方、同事業所で消費する電力の65%はコージェネで発電。不足分は太田都市ガスの子会社で太田市なども出資する地域新電力「おおた電力」からの供給で賄う。

同社太田事業所MI推進部の田辺悟リーダーは「コージェネ導入により、エネルギー調達コストを約2割削減できた。ESの採用により、運転やメンテナンスなどの手間も低減できている。コージェネからのエネルギー供給により万一の際にも安心だ。エネルギーはOESとおおた電力のワンストップサービスに任せているので、それを含めるとエネルギーに関する業務は大幅に減った」と話す。

・隣接地のエネプラントから電気・蒸気を供給

同事業所では、以前は太田都市ガスが供給する都市ガスで水管ボイラーを稼働し蒸気を使用していた。太田都市ガスと東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)は共同で、エネルギーコスト削減とレジリエンス向上を目的に以前からコージェネ導入提案を行っており、16年ごろから具体化していた。

東日本大震災後、電力単価が上がったことでコージェネ導入によるコストメリットが増加した上に、計画停電で、事業継続計画(BCP)の重要性が高まったことからモメンティブは、コージェネの導入を決めた。

しかし、敷地内にエネルギー設備の設置用地を確保するのが難しかったため、同工場に道路を挟んで隣接する太田都市ガスが資材置き場などに利用していた6Aガス製造所跡地に、ガスタービンなどを含むエネルギープラントを設置した。そこから公道下に新設した配管を通じて、電気と蒸気を供給する。

ESを実施するOESは、太田都市ガスがワンストップでエネルギーサービスを提供する目的で21年2月に設立した。社長は太田都市ガスの井上孝昭常務取締役だ。このES事業のほかに、太田都市ガス供給区域内の市立学校にGHPをリース提供している。

OESの井上社長は「約1万平方㍍の敷地のおよそ3分の1を使ってエネルギープラントを設置した。モメンティブ太田事業所へ熱・蒸気を送るための設備は、300Aの蒸気配管などだ。太田市の許可を得て、非開削工法で道路の地下5㍍に敷設した直径1㍍、長さ約40㍍のヒューム管2本の内部に設置した」と説明する。

モメンティブは太田事業所のコージェネ導入により、工業用需要が多い太田都市ガスでも有数の大口顧客となった。機器の所有やプラントの運営はTGESが担当する。日常点検はモメンティブが行うが、コージェネの運転管理はTGESの遠隔自動制御サービス「ヘリオネットアドバンス」を活用している。

・レジリエンス向上、瞬低対策を準備中

太田事業所では、レジリエンスをさらに向上させるため、電力の高速遮断器などの導入を進めている。系統電力の途絶や落雷などによる瞬時電圧低下(瞬低)が発生すると、度合いにもよるが、生産ラインを停止する場合がある。ラインを止めると、復旧に最悪の場合は2~3週間掛かることもあるという。

そのため、高速遮断器などで重要な負荷を切り離して、コージェネからの電力だけで稼働を継続し、生産への影響を最低限に抑える目的だ。高速遮断器は導入済みで、2~3年後の竣工を目指し、工事を進めている。

〇ZEBレディに認定、450キロワット機採用し強じん化/長崎市庁舎

昨年1月に供用開始した長崎市庁舎は、設計一次エネルギー消費量を50%以上削減する「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル)Ready(レディ)」に認定されている。コージェネレーションを活用してZEBレディ化する事例はまだ少ないが、高いレベルの省エネ性と強じん性を両立させた好事例だ。自治体の庁舎は、災害時に停電等があっても災害時対応拠点となるケースが多い。長崎市庁舎は、出力450キロワットと業務用施設としては比較的大きなコージェネで非常時の電源確保に備える。多くの自治体からモデル施設の一つとして今後注目されそうだ。

長崎市の旧庁舎は、築60年以上を経て老朽化していたことから、同じく老朽化していた長崎市公会堂の解体跡地に新築することを決めた。延べ床面積約5万平方㍍で、地上19階、地下1階の建物となった。

新庁舎には、停電対応型ガスエンジンコージェネが設置された。耐震性の高い中圧ガスを敷地内に引き込み、熱源機には直接供給、敷地内では専用ガバナで低圧に減圧してそれ以外のガス機器に使っている。

コージェネから出る熱は排熱投入型吸収冷温水機(528キロワット×2台)に投入することなどで省エネ性向上に貢献。省エネ性、強じん性に加え、電力ピークカットによって契約電力低減などにも貢献している。停電時には、A重油燃料による非常用発電機と同期してコージェネが運転する。停電が長引いても、市庁舎が防災拠点として7日間は機能できるよう非常用発電とコージェネが電力供給の面で支える形だ。

同庁舎には太陽光発電20キロワットが設置されており、停電時には1階エントランスホールのコンセントなどに電気を供給する。万が一の水害への備えとして、コージェネ・受変電などの設備を設置する機械室は6階と最上階の19階に設置した。1階床下には防災備蓄倉庫も備え、大規模災害時に市民等の一時避難の受け入れを想定している。地下水利用もでき、避難時の水の確保への備えもある。

長崎市庁舎の計画・建設では、地球温暖化対策も重要なテーマとしていた。松本一樹長崎市企画財政部大型事業推進室主事は、2014年の建設基本計画策定時から「人と環境にやさしい庁舎」を目指すべき姿に位置付けていたこともあり、「市民や事業者の先頭に立って温暖化対策を率先し再生可能エネルギー導入促進、省エネ推進のシンボルとなることを目指した」と話す。

当初からZEB化を目指したわけではなく、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)での高評価を目指していた。プロポーザル公募で設計を山下設計・建友社設計・有馬建築設計事務所特定設計業務共同企業体が受注した。

建築側では外皮の工夫、Low―E複層ガラスの採用、設備側では外気導入量の適正化、照明照度の低減などを行った。1フロア当たり水平に3本の梁と3㍍間隔の柱で格子状にした構造フレームの窓は、外観的特徴を形作ると同時に、省エネ性アップにも貢献している。

照度を低減して必要に応じてタスクライトを使ってもらう工夫や、従前よりもパソコンの電力消費量や発熱が低くなっていることなどをより実態に合った計算を行うことで空調容量削減につなげた。

中澤大山下設計機械設備設計部副グループ長は「やるべきことを積み重ねて、最終的にZEBレディの認定を受けることができた」と話している。

長崎市庁舎は、2022年の新幹線開通で新しい玄関口となったJR長崎駅周辺や中華街などからアクセスがよい。中澤副グループ長は「新庁舎は新しいにぎわいが形成されつつある駅周辺エリアと、古くからのにぎわいがあるエリアの、ちょうど真ん中近くに配置される。そのため、新・旧の市街のにぎわいをつなげていく市庁舎というコンセプトを考え、設計に生かした。敷地内にはこの地の歴史を継承する広場をつくり、広場に面した低層階には窓口の待合スペースやテラスを持つ多目的スペース・食堂など、用事の前後、あるいは用事がなくても市民がここで自由に過ごせる空間を整備した。RC(鉄筋コンクリート)フレームとCLT(直交集成板)パネルが特徴的な高層部分は、市庁舎のシンボルとして環境性能・防災性能を『見える化』する」という。市庁舎の正面玄関前の広場ではさまざまなイベントが行われ、にぎわいも生まれつつある。長崎市内を一望できる19階の展望フロアも新たな観光スポットになっている。

市民や観光客が集まるこの市庁舎は、災害時の対応拠点としての強じん性を備えており、それが市民の安心につながるだろう。その安心をコージェネが支えているという意味でも好事例になっている。

【コージェネ特集2024】導入事例(2)

●大型・高効率機に更新、EMS併用で省エネ効果向上/ジェイテクト岡崎工場

ジェイテクトは2021年に、岡崎工場(愛知県岡崎市)の出力4900㌔㍗の既設ガスエンジンコージェネレーションシステムを7500㌔㍗の高効率機(川崎重工業製)に更新するとともに、エネルギー管理システム(EMS)も導入し、省エネルギー効果を高めた。更新したコージェネは停電対応型とし、BCP(事業継続計画)強化も図った。東邦ガスエンジニアリングによる15年間のエネルギーサービスで導入し、イニシャルコストを抑えた。

岡崎工場では、オイルポンプやプロペラシャフトなどの自動車部品や工作機械を生産している。特徴は、溶解炉を3基持ち、アルミや鉄を溶かして成形する鋳造から部品製造まで一貫して手掛けていること。この溶解炉で大量の電気を消費している。同工場の全電力消費量のうち鋳造工程で約5割を消費している。

低炭素化への世界的な動きが加速する中、ジェイテクトも省エネの取り組みを強化している。その一環として大型の高効率最新鋭コージェネを採用し、更新前よりも省エネ効果を高めた。溶解炉稼働時の同工場の消費電力の約8割をコージェネで賄える。

更新前は、工場内の余剰蒸気を排熱投入型吸収冷温水機(ジェネリンク)に投入して空調用の冷温水を作っていたが、蒸気は工場内の他の用途でも大量に使用するため、ジェネリンクへの充当量は少なく、都市ガスで追いだきしていた。今回、コージェネの出力増強により、排熱量も増えた。余剰蒸気だけでなく、コージェネからの排熱(温水)もジェネリンクに投入し、追いだき用のガス使用量を抑えるようにした。コージェネの排ガスで作った蒸気は、水分を含んだ油分を濃縮する廃液濃縮装置や汚泥を乾燥させる装置などで活用している。

レジリエンス強化も図った。従来のコージェネは停電時に稼働できなかったが、今回の更新で停電対応型にした。

同工場製造技術部設備管理課の杉本亘グループリーダー(GL)は、「災害で工場への送電網に被害があった場合、生産活動に影響が及ぶ。そうした事態を回避するためコージェネを大型化・高効率化するとともに、停電対応型にした」と話す。

停電時は移動電源車(軽油燃料)からの電気でコージェネを起動できる。発災時に同工場のほか、周辺の自社工場や他社にも移動して電力供給できるよう移動電源車をそろえた。

更新にあわせてEMSを導入した。同課の赤川仁志氏は、「工場内の生産ラインの稼働状況に応じて高効率エアーコンプレッサーを優先的に稼働させる台数制御や、必要なエアーの量に応じてコンプレッサーを稼働させるインバーター制御、生産ラインごとに最適な圧力のエアーを送る圧力制御を実施。工場全体でエアーの最適化を図り、省エネ効果を高めた」と語る。

「従来はエアーを最も使う生産ラインで必要とする圧力に設定し、同じ圧力で工場内の各所に送気していたので、圧力が過剰だった所もあった。EMSを導入し、各ラインで圧力制御(エアーバルブの自動開閉)をできるようにして無駄なエネルギー消費を削減した」(杉本GL)。

コージェネ更新とEMS導入によるコスト削減効果について、製造技術部の吉田健二主任プロフェッショナルは、「単純比較は難しいが、当社内でベンチマークとしている工場に対し、コージェネ更新・EMS導入前と比べてエネルギーコスト削減効果は1・6倍になった」と語る。二酸化炭素排出量は、更新前の17年度と比べ、22年度は4割削減できたとしている。

コージェネから系統電力への逆潮は行っていないが、コージェネの発電出力を増強したことで自家発電比率を高め、調整力公募への対応を可能とした。夏季の夕方3時間など、下げDR(デマンドレスポンス)を実施し、電力需給ひっ迫の緩和にも貢献している。

●コージェネ大賞2023~3部門の理事長賞を紹介~

◆【民生用部門】水素利用システムを導入/清水建設

清水建設は、老朽化した北陸支店(金沢市)を建て替え、2021年から新社屋で業務を行っている。各種省エネ技術を採用し、建物の一次エネルギー消費量を基準値の28%まで低減した一方、再生可能エネルギー由来の水素を活用するシステムを導入し、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を実現した。

新社屋は、地下1階・地上3階建て、延べ床面積は約4200平方㍍。特徴は、将来の水素社会の実現を見据え、CO2(二酸化炭素)フリー水素エネルギー利用システム「HydroQ―BiC(ハイドロキュービック)」を実装したこと。これは水素を活用した蓄電システムで、同社が産業技術総合研究所と共同開発した。電気・熱の最適マネジメントを実現する。

システムには、水素製造装置(毎時10ノルマル立方㍍)と水素吸蔵合金を用いた水素貯蔵装置(1350ノルマル立方㍍、2千㌔㍗時相当)、発電出力100㌔㍗の純水素型燃料電池システム「H2Rex」(東芝エネルギーシステムズ製)、リチウムイオン蓄電池(100㌔㍗時)、太陽光発電設備(140㌔㍗)を組み入れた。社屋内の電力需要が少ない時間帯に太陽光発電の余剰電力を用いて水を電気分解し、水素を製造・貯蔵する。電力需要量が増える季節や時間帯に合わせて、貯蔵水素を用いて「H2Rex」で発電。従来は難しかったエネルギーのシーズンシフトを実現した。発電時の排熱は給湯設備や空調温水の予熱に利用し、システム総合効率を約60%まで高めた。

22年度実績では、太陽光発電による発電量の約80%を新社屋で直接利用したが、約20%が余剰になった。その余剰電力は、30%を水素製造に充て、20%を蓄電池にためて、約50%を売電した。

災害時のBCP(事業継続計画)強化も実現。災害による停電時は、太陽光発電による電力の直接利用を優先する。太陽光の電力だけでは足りない場合は、水素を活用して発電するほか、蓄電池から放電する。これらで、災害対策室、照明、給水ポンプ、情報機器で使う電気を賄う。

◆【産業用部門】工場間熱融通でCO2削減/信越化学工業

信越化学工業群馬事業所(群馬県安中市)は、磯部工場、松井田工場、横野平分工場、郷原分工場の4工場で構成される。同社は、電力安定供給と製品の安定生産、二酸化炭素(CO2)排出量削減を目的として、磯部工場と松井田工場にガスタービンコージェネを増設した。両工場を隔てる公道下に共同溝(蒸気配管)を敷設し、磯部工場の蒸気を松井田工場に供給し、2工場で熱を有効活用する仕組みを構築した。

磯部工場では電気を大量消費する半導体シリコンウエハや有機材料などを製造しており、熱電比は小さい。一方、松井田工場は製品構成の違いから熱電比が大きい。同社は、磯部工場に7910㌔㍗×2基、松井田工場に7890㌔㍗×1基のガスタービンコージェネを導入。両工場間に1・3㌔㍍の共同溝(2㍍×2㍍)も設け、蒸気配管を敷設した。磯部工場の蒸気を松井田工場に融通する仕組みを構築し、熱を面的利用することで熱電バランスの最適化と省エネを実現した。共同溝内には光ケーブルも敷設し、機器の運転状況や熱電バランスを一括監視するなど、両工場を一体運営している。

都市ガスは高圧(2・6メガパスカル)で供給を受けられるようにし、ガス圧縮機の追加設置を不要にした。既設ガスタービンも含め、合計千㌔㍗分のガス圧縮機動力を削減できたとしている。

コージェネを増設したことで、従来と比べ、エネルギー使用量を28・2%削減でき、CO2排出量を年間約2万4千㌧削減できる見込みとしている。2026年4月からは、コージェネの発電余剰電力を横野平分工場、郷原分工場に自己託送する予定。これが実現すると、群馬事業所4工場の電力自給率は従来の51%から100%になる見込みとしている。

さらに、保安防災機能の強化を図るため、増設したコージェネを、災害などによる停電時に起動するブラックアウトスタート(BOS)仕様とすることも計画している。

◆【技術開発部門】ドライ式水素専焼コージェネ/川崎重工業

川崎重工業は、ドライ方式による水素専焼1800㌔㍗級ガスタービンコージェネレーションシステム「PUC17MMX」を開発した。ガスタービンの燃焼器内に水や蒸気を噴射せずに高効率発電を可能とするドライ方式による水素専焼ガスタービンコージェネの製品化は世界初。

水素は、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しないが、天然ガスに比べて燃焼速度が速く、燃焼温度が高いため、燃焼器の部品が過熱しやすい。また、燃焼時に窒素酸化物(NOχ)排出量が増加することも課題だった。このため燃焼器内に水や蒸気を噴射して局所的高温とNOχ発生を抑えるウェット方式が実用化されているが、発電効率が低下する欠点があった。

同社は、マイクロミックス燃焼器(MMX燃焼器)と追いだき燃焼を組み合わせた独自の燃焼技術により、これらの課題を解決した。MMX燃焼器は、直径1㍉以下の多数の微小噴射孔から燃料を噴射する。微小火炎を作ることで局所的な高温部分が生じることを解消。MMX燃焼の下流で水素を追加投入することで、安定燃焼・安定出力を維持しながらNOχ排出量を抑える。この追いだき燃料の調整により、MMX燃焼を安定させた状態で出力を柔軟に変更できる。

水素専焼だけでなく、水素と天然ガスの混焼運転にも対応が可能。体積比で水素を50~100%の割合で混焼でき、安定燃焼を実現する。例えば水素の価格が十分に下がるまでの過渡期は混焼運転、低廉水素が大量導入された際に専焼運転とするなどの活用ができる。

PUC17MMXは、商用電源+ガスだきボイラーと比べ、水素50%混焼時は年間4300㌧、水素専焼時は同1万2900㌧のCO2削減が可能としている。また、既納の約60台のPUC17ガスタービンを全て水素専焼に改造した場合、CO2削減量は合計で同77万㌧に及ぶと見込む。

同社は水素燃料ガスタービン技術の開発を進め、MMX燃焼器を、自社の他のガスタービンに対して順次適用していく方針。2030年までに全機種に展開することを計画している。

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