GENIX-CN70

187.45

+2.52

4月26日終値

中東産LPG日本向け出荷価格5月分は、プロパンが前月比35ドル値下がりして1トン580ドル。ブタンは同35ドル下がって585ドル。ともに2カ月連続で値下がりした。
市況情報

  中東産LPG日本向け長期契約価格(サウジCP)5月分は、プロパンが1㌧当たり580ドルと前月比35ドル下落した(下落率5・69%)。値下がりは4月分に続いて2カ月連続。

  ブタンは前月比35ドル値下がりして(下落率5・65%)1トン当たり585ドルとなった。ブタンも2カ月連続で下落した。

(2024年4月26日配信)

 【過去解説記事】

 中国税関が18日に発表した3月のLNG輸入量は前年同月比24・1%増の665万㌧となり、3月としては2021年の564万㌧を上回り3年ぶりに過去最高を更新した。1~3月の累計輸入量は同20・4%増の1985万㌧と、年間輸入量が過去最高だった21年同期を0・8%上回った。

 今年第1四半期の国内総生産は5・5%増と昨年第4四半期の5・2%増を上回った。輸出産業を中心に二酸化炭素排出削減のためのガスシフトも進んでいる。同期間のLNGスポット市況が前年同期を4割下回るなど割高感が薄れたことも需要喚起につながったようだ。今後の見通しについてエネルギー・金属鉱物資源機構調査部竹原美佳部長は、「国際市況はこのところ上昇に転じており、LNGスポット調達は目先一服しそうだが、地方政府のガス火力建設推進や船舶燃料のグリーン転換などもありガス需要そのものは高まる方向」としている。

(2024年4月18日配信)

【過去解説記事】

 東証4月12日 東京ガスの株価が一時前日比54円高の3899円と前日に続いて上場来高値を更新した。同社株は今週に入って騰勢を強め、年初からの株価上昇率は20%に達した。3月中旬、大阪ガスの時価総額が一時、東京ガスを逆転したが、東京ガスが再び首位に立ちリードを広げている。4月19日に全国知事会が東京ガス横浜ステーションを視察し、e‐メタン製造実証の説明を受ける予定となっている。カーボンニュートラルに向けた同社の技術力に注目が集まりそうだ。株価上昇により、株価純資産倍率(PBR)は0.94倍へと上昇。1倍乗せが視野に入ってきた。

 都市ガス株では、北海道ガスの株価も上昇基調にあり、この日も前日マークした上場来高値2960円まで一時買い進まれる場面があった。年初からの上昇率は34%に達するが、同社株のPBRはいまだ0.7倍台にとどまり、依然割安感が漂う。北海道では半導体工場の新設で電力消費の大幅な伸びが予想され、北海道電力の株価もこのところ大幅に上昇している。

(2024年4月12日配信)

 4月3日 米原油先物(WTI)は前日比28セント高の85.43ドルと3日続伸、本年の高値を更新した。ウクライナによるロシア主要製油所への無人機攻撃や、イラン大統領によるイスラエルへの報復表明など地政学的リスクの高まりが背景にある。また週間統計で米国原油在庫が前年同期比18.5%減と減少が目立ったことも材料視されている。

 注目されたOPECプラス合同閣僚監視委員会は、生産目標維持を決定。また、米連邦準備理事会パウエル議長は講演で利下げを急がない姿勢を示したとされる。三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部・芥田知至主任研究員は、「中東、ウクライナ情勢は今後一段と動向が注視される。また、米金融政策、中国当局による経済運営、産油国の生産方針なども引き続き注目される。ただ、米中の景気は石油需要を上振れさせるほどには強くないとみられ、相場の上昇傾向を決定づける材料は出にくいと思われる。相場は再び一進一退の推移となりやすい」と指摘。もっとも、今年後半にかけて米利下げを受けてドル安が進む展開となれば、ドル建ての原油価格には割安感が生じ上昇圧力がかかりやすくなるとし、今年度は1バレル95ドル程度の上値が見込めるとしている。

(2024年4月4日配信)

 GENIX-CN70は年度内最終売買日となった3月29日、前週末比0.55ポイント上昇し189.41と、2週続けて最高値を更新した。3月末割り当てで1対10の大幅な株式分割を実施した三菱重工業は権利落ち後も堅調で、修正株価は連日の最高値となった。GENIX-CN70構成銘柄では他に理研計器が1対2、川崎汽船が1対3の株式分割を3月末割り当てで実施した。

 岩谷産業の株価が3連騰で、連日の上場来高値更新。3月28日にコスモエネHD株式を追加取得し、持ち分法適用会社にしたと発表したことが材料視されている。コスモエネの今期純利益予想は780億円、岩谷産業は335億円。持ち分比率2割相当の利益が来期以降、上乗せされるインパクトの大きさが期待されているようだ。また、会社側は本件株式取得に要する資金を借り入れで賄うとしており、「増資による一株当たり利益の希薄化が回避される見通しになったことも好感されている」(国内証券調査部)という。

(2024年3月29日配信)

 米国3月26日、米パイプラインガス(ヘンリーハブ=HH)先物価格が終値で5日続落し、百万BTU(英国熱量単位)当たり1.575ドルに下落。2月20日に付けた本年安値1.576ドルを1カ月ぶりに割り込んだ。ザラ場安値は1.4㌦台まであった。

 米エネルギー情報局(EIA)が3月21日に発表した週間データによると、米国の地下ガス在庫量は3月15日時点で前年比21%増、過去5年間の平均値に対しては41%上回っている。エネルギー・金属鉱物資源機構・白川裕調査役は、「気温が上がり需要が低下して、在庫がさらに積み上がったことと、生産がすぐには低下しないことが主要因」と指摘する。こうした在庫の荷余り感が先物市況の上値を重くしているようだ。

 HH先物価格の過去15年間の値動きを振り返ると、期近先物価格が1ドル台まで下落した年は2012年、16年、20年の3回あり、当該年の安値形成月はそれぞれ、4月(1.9ドル)、3月(1.6ドル)、6月(1.4ドル)となっている。春に安値を付ける習性と、この間の価格水準が切り下がる傾向が見て取れる。

(2024年3月27日配信)

 3月22日、ガスエネ株価指数カーボンニュートラル70(GENIX‐CN70)は2週間ぶりに過去最高値を更新した。GENIX‐CN70構成銘柄はほぼ全面高となり、K&Oエナジー、三菱重工、岩谷産業、大阪ガスなどが最高値を更新した。

 なお、三菱重工(1株→10株)、理研計器(1株→2株)、川崎汽船(1株→3株)は3月28日付で株式分割の権利を落とす。株式分割のメリットとしては、単位投資額の引き下げによる投資家層のすそ野拡大、流動性の向上などが指摘される。昨年以降で、株式分割を実施したリンナイ、NTT、三菱商事、京セラは、権利落ち後も堅調な値動きを保っている。

(2024年3月22日配信)

 3月15日 ENEOSHD(GENIX―CN70構成銘柄)の株価が朝方から買い進まれ、5年3カ月ぶりに700円台に乗せてきた。他にもINPEXや石油資源開発、コスモエネルギーHDなどの石油関連株、資源高が利益に結び付く商社株も軒並み値上がりしている。コスモエネルギーは国内大手証券が投資格付けを引き上げたことも好感され、株価は上場来高値を更新した。

 株式市場は、米原油先物(WTI)が14日、期近4月渡し終値で1バレル81.26ドルと続伸し、昨年11月6日の80.82ドル以来の80ドル台乗せとなったことを材料視しているようだ。国際エネルギー機関(IEA)が同日公表した市場レポートでは、今年の石油需給は供給不足になるとの予測が示されている。産油国の自主減産延長による供給減や、紅海におけるタンカー襲撃で海上輸送距離が延びておりバンカー燃料の需要増加を織り込んだという。もっとも原油市況は過去1年余りにわたって、おおむね70ドルから80ドルのレンジで推移しており、80ドル台では上値の重さも意識されそうだ。

(2024年3月15日配信)

 3月8日 大阪ガス(GENIX CN‐70構成銘柄)の株価が前日比153円高の3350円で寄り付き、直後に230円高の3427円まで上昇。1月11日に付けた上場来高値3242円を一気に更新した。同社は7日、3カ年中期経営計画を策定し、配当を原則減配せず維持または増配する累進配当制度を導入すると発表し、好感された。

 2024年3月期の配当金は前期比12円50銭増配して72円50銭(従来予想65円)に、25年3月期は95円を目指す方針も示した。株主資本配当率を3%とする方針を掲げ、機動的な自己株取得も検討するとした。この他、自己資本利益率(ROE)の目標は26年度に8%程度、投下資本利益率(ROIC)は5%程度を目指す。「株価を意識した経営姿勢に変化していると株式市場が受け止めており、都市ガス株の中でも相対的な値上がりが目立ってきている」(中堅証券)という。この日前場終値での時価総額は、大阪ガスが1.43兆円、東京ガスは1.41兆円となり、大阪ガスが東京ガスを逆転した。

(2024年3月8日配信)

 2月22日 東証では朝方から買いが先行し、日経平均株価は大幅に反発した。終値は初の3万9000円台で、1989年12月以来の史上最高値更新となった。注目された米エヌビディアの決算が市場関係者の事前予想を上回り、3連休控えにもかかわらず、マーケットのセンチメントは強気に傾いた。半導体関連株をリード役に、主力株を中心に幅広く買い進まれた。

 GENIX‐CN70構成銘柄も軒並み上伸した。三菱重工業が上場来高値を更新し、日本酸素HD、川崎汽船は最高値をうかがう動き。原油市況の上昇を背景に石油資源開発など石油関連株も値上がりした。

(2024年2月22日配信)

 米国パイプラインガス市場価格(ヘンリーハブ先物)が2月15日、8日連続安となり、百万BTU(英国熱量単位)当たり1.5㌦台まで下落、2020年6月以来の安値水準となった。在庫の積み上がりが背景にあるという。

 エネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は「原油市況が1バレル80㌦弱と堅調なことから、パーミアン盆地を中心にシェールオイルの生産が盛んで、随伴ガスの生産量も増えている。気温が高めに推移していることもあり、地下在庫は過去5年間の最高水準に到達している」と指摘。

 先物市場の中心商いが春の需要閑散期に移りつつあることから、市況は当面弱含みで推移しそうだ。
(2024年2月16日配信)

2月12日 米国で天然ガス市場価格(ヘンリーハブ先物価格=HH)が5日続落し、期近終値は百万BTU(英国熱量単位)当たり1.768ドルに下落した。1.7ドル台は2020年7月以来の安値となる。市中在庫が高水準にあり、市場のセンチメントを圧迫している。

HHは昨年11月以降、3ドルを割り込むなど市況の低迷が続いているが、生産量が落ち込む兆しはいまだ見えないという。エネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は「原油市況が1バレル80ドル弱と堅調に推移していることから、オイルリッチなパーミアン盆地を中心に油狙いの生産が盛んになっている。このため副産物であるガスの生産も増加している」と指摘する。

(2024年2月13日配信)

米国市場でガス市場価格(ヘンリーハブ先物価格)が続落している。7日に心理的な下値めどと見られていた百万BTU(英国熱量単位)当たり2ドルを割り込むと、8日終値は一段安となり1.917ドルまで下落した。およそ3年5カ月ぶりの安値水準となる。

市況下落の背景には、マーケットの荷余り感があるようだ。「このところの気温上昇で暖房用需要が低下しており、地下在庫量は過去5年間の上限レベルに到達している。当面は上値の重い展開が続きそうだ」(エネルギー・金属鉱物資源機構・白川裕調査役)。

ヘンリーハブ価格の下落に伴い、米国産LNGの輸出価格も低下しており、現状は世界の主要輸出国の中でも最も安価な水準となっている。

(2024年2月9日配信)

2月6日 東証後場 三菱重工業の株価が昨日の1万円初登頂に続いて一段高となった。この日午後、同社は3月末割り当てで株式1株を10株に分割すると発表。合わせて発表された今2024年3月期第3四半期連結決算は、売上高が前年同期比11%増、純利益は同倍増となるなど好調ぶりが明らかになった。通期の受注見通しを6兆円とし、従来予想に4000億円上積みした。これら大幅な株式分割と好調な業績動向が素直に好感され、買いが買いを呼ぶ好循環となっている。

同社株は1年前の2月には5000円前後で推移しており、そこから株価水準はちょうど2倍になっている。

(2024年2月6日配信)

1月31日 サウジアラムコがこのほど日本のLPガス輸入事業者に通知したプロパン2月分出荷価格(サウジ2月CP)は、前月比10ドル値上がりして630ドルとなった。値上がりは昨年8月分(470ドル)以降、12月分の変わらずを挟んで8カ月連続。

LPガス市況に影響する原油市況が、12月初旬を底に水準を切り上げているほか、世界最大のLPガス輸出国である米国において、プロパン在庫の取り崩しが進み、市況が上昇したことが背景にある。米国ではLPガスの一大輸出地域であるメキシコ湾で濃霧が観測されており、輸出作業への影響も警戒されたという。サウジCP2月ブタンも、前月比10ドル値上がりして640ドルとなった。

(2024年2月1日配信)

1月26日GENIX-CN70は前週比0.64ポイント値上がりして169.36ポイントとなった。7週間連続の上昇で、3週続けて統計開始来の最高値を更新した。一方、東証株式市場全体としては、このところの上げピッチの速さから利食いが広がり、東証株価指数(TOPIX)は7週ぶりに値下がりした。

GENIX-CN70の構成銘柄で値上がりが目立ったのは、25日に2023年12月期決算を発表したHIOKI。24年12月期も増収増益を見込み、配当金を年200円に連続増配する方針が好感されたようだ。

このほか、三菱重工業、三菱化工機が高値圏で頑強な値動き。SMBC日興証券が目標株価を引き上げたウエストホールディングスも下値を切り上げている。

(2024年1月26日配信)

 欧州パイプラインガス先物価格が17日、百万BTU(英国熱量単位)当たり8ドル台まで下落し、昨年8月以来の安値水準となった。北東アジアLNGスポット価格も続落しており、17日は昨年6月以来の9ドル台を付けている。先物の決済期日が2月から3月に移り冬場の需要期を過ぎることで、足取りが弱くなっている。昨年の安値は欧州ガス先物価格が7ドル台、スポットLNGは8ドル台だった。

 当面の市況動向についてエネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は、「カタールから欧州にLNGが年間1500万トン供給されており、スエズ運河の通航リスクが警戒されているものの、それでも欧州の在庫水準が依然として高いため、中東からの輸送に支障が生じても当面の供給は何とかなると見られている。昨年10月から輸出を再開したエジプトLNGもまだ量は少ないとはいえ心理的な支えになっている。不需要期の相場は数年前なら3~4ドルもありえたが、安価になったスポットLNGを中国が仕込む動きも見られるため、今回はそこまで下がらないだろう」とする。また、「足元のスポット需要は弱いが、供給力に余裕があるほどの状況でもない。幸いにして供給設備のトラブルは昨年から起きていないが、いつ起きても不思議はない。先行きを楽観視するわけにはいかない」と指摘する。

(2024年1月18日配信)

東京株式市場は年末・年始と値上がり基調を強めており、GENIX-CN70も12月15日から1月12日終値まで5週連続で上昇した。1月12日の終値は167.67ポイントとなり、昨年9月15日にマークした指数算出以来の最高値165.83ポイントを4カ月ぶりに更新した。

GENIX-CN70構成銘柄では、商社株の値上がりが目立ち、伊藤忠商事、住友商事が最高値を更新。海運株も高値圏でしっかり。個別銘柄では、三菱重工業、愛知時計電機が最高値を付けた。本日午前、2024年8月期第1四半期決算を発表し、大幅な増収増益が確認されたウエストホールディングスが急伸した。

(2024年1月12日配信)

中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)1月分は、プロパンが前月比10㌦高い1トン620㌦。ブタンも同じく10㌦値上がりして630㌦となった。小幅高ながら、極東マーケットは足元で強弱感が交錯しており、先行きの方向感は乏しい状況。米国のプロパンスポット市況(モントベルビュー)は12月分が1トン357㌦と、前月から約25㌦値上がりした。依然として近年の安値圏での値動きではあるが、市中の在庫水準は過去5年平均並みまで減少しており、底堅さも見られる。

(2024年1月10日配信)

1月5日 2024年の年明けの東京株式市場は、能登半島地震を受けて4日の大発会は売り物先行でスタートしたが、新NISA開始に伴う投資資金流入などによる先高期待から押し目買いが優勢となり、結局、東証株価指数(TOPIX)は4日、5日と続伸した。

GENIX-CN70も12月最終週に続いて上昇し、5日終値は164ポイントと、5週ぶりに160ポイント台を回復。昨年9月15日にマークした最高値165.83に急接近した。指数構成銘柄では、大阪ガスが大幅高となり、5日に一時3111円まで上昇。12月13日に付けた最高値3077円を上回った。4日以降終値ベースでも初めてとなる3000円台を維持している。このほかでは、海運株が人気を集めており、日本郵船、商船三井が最高値を更新した。

(2024年1月5日配信)

12月29日 東京証券取引所最終売買日(大納会)は、今年1年の相場を象徴するような堅調な展開だった。その中でGENIX-CN70は前週に続いて上昇し、3週連続高で今年を締めくくった。GENIX-CN70の年間騰落率はプラス25%となり、東証株価指数の上昇率と互角の好成績だった。

GENIX-CN70構成銘柄の中で値上がりが目立ったのは、川崎汽船、日本酸素、栗本鉄工、愛知時計電機、関電工など。一方、不調だったのは、イーレックス、レノバ、テスHD、ウエストHDなどだった。なお12月末割り当てで、京セラが1株を4株、三菱商事は1株を3株に株式分割した。GENIX-CN70もこれに合わせて、株式分割の影響を考慮した修正株価指数を算出している。

(2023年12月29日配信)

12月22日 GENIX-CN70は前週に続いて上伸した。全般は高安まちまちだが、値がさ株の海運3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)がそろって本年高値を更新し、CN70を押し上げた。また、工場新設で恩恵を受ける理研計器が12月20日上場来高値を更新した。

海運株が動意付いたのは先週末。紅海で武装組織による商業船への攻撃が相次いだことで、海運会社がスエズ運河の航行を見合わせ、迂回経路による輸送距離の延長などで海運市況が上昇するとの思惑が働いた格好。海運株はコロナ禍前後の市況高騰局面で株価が5倍以上に跳ね上がっており、その記憶がまだ新しいだけに思惑が先行しやすいようだ。

(2023年12月22日配信)

12月15日 GENIX-CN70は3週ぶりに反発した。指数構成銘柄では、理研計器の株価が13日に上場来高値を更新。大阪ガスも同日最高値を更新し、未踏の3000円台に一時到達した。

岩谷産業の株価はコスモエネルギーホールディングスの筆頭株主になると発表した12月1日以降、大きく値下がりしたが、15日終値は7日ぶりにプラスに転じた。

14日に一時5996円まで下げ、4月初旬以来8カ月ぶりとなる6000円大台割れを見たことで、値ごろ妙味が台頭したようだ。9月高値からこの安値までの下落率は26%に達し、一株当たり純資産5249円も意識される水準となっていた。チャート面から当面の戻りめどを探ると、25日移動平均線の6866円、9月高値から直近安値までの下げ幅の半値戻し6770円など、6800円あたりが意識されそうだ。

(2023年12月15日配信)

12月13日 GENIX-CN70構成銘柄の大阪ガスが4日続伸し、一時3077円の高値を付けた。3000円台に乗せたのは上場来初。12日大引け後に、日本経済新聞が「伊藤忠と大阪ガス、世界最大級の水素生産に最大4割出資」と報じ、これを材料視する買い注文が朝方から集まった。

株価は11月初旬、自社株買いの発表を契機に大きく上放たれ、過去16年来の上値抵抗線となっていた2600円前後の節を突き抜けてきた直後とあって、しこり感のないチャート妙味も好感されているようだ。

12日に発表された欧州の水素企業Everfuelのニュースリリース

(2023年12月13日配信)

12月8日 GENIX-CN70は前週に続いて下落した。急速な円高進行や世界的な景気減速懸念を受けて、東京株式市場はこの日、ほぼ全面安となった。GENIX-CN70構成銘柄にも利益確定の売りが先行した。中でも、原油先物市況の下落を受けて、石油、造船、商社、海運株などが大きく値を下げた。

12月1日引け後にコスモエネルギーホールディングス株式大量取得を発表した岩谷産業は、週明け4日から株価が大きく下げ、発表前の終値7141円から8日安値6388円まで5日間で10%を超える下げとなった。9月の本年高値8040円からの下落率は20%に達している。アナリストからは「コスモエネ株取得に1千億円を超える大金を投じることについて、どのようなリターンを見込んでいるのか、できる限り定量的な説明が欲しい。株価の下げは合理的な反応。投資家は追加情報を待っている」との声が聞かれる。コスモエネ株が取得価格を割り込んでいることも嫌気されているようだ。

(2023年12月8日配信)

米原油先物価格(WTI)は12月6日、前日比2.94ドル安の69.38ドルと5日連続で値下がりした。節目と見られた1バレル70ドル台を5カ月ぶりに割り込んだ。9月に付けた本年高値93.68ドルからの下落率は26%に拡大するなど下値を模索する動きとなっている。

注目された11月30日のOPECプラス会合は、各国から自主減産(来年1~3月期に日量約220万バレル)が発表されたものの、想定の範囲内と受け止められたようで、相場の下落基調を反転させるには至らなかった。

相場が弱含んでいるのは、世界的な景況悪化に伴う需要減少への警戒があると見られる。「不動産不況が続く中国経済の停滞や、ここまでの利上げで減速が見込まれる米国景気などを考慮すると石油需要は伸び悩み、自主減産してもなお需給は引き締まらないのではないか」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部芥田知至シニアアナリスト)との指摘がある。当面は今週末発表される米雇用統計をはじめ、主要な経済指標を横目にみながら神経質な値動きが続きそうだ。

(2023年12月7日配信)

12月1日 岩谷産業(GENIX‐CN70構成銘柄)はこの日、コスモエネルギーホールディングスの株式を追加取得すると発表した。旧村上ファンド系と見られる既存株主から計約1740万株を1053億円で取得する。取得済みの持ち株と合わせた保有比率は19.93%となり、同社の筆頭株主になる。

1株当たりの取得価格は約6051円で、この日の東証終値5616円を約8%上回るが、価格の算定根拠については明らかにしていない。今後については、「より一層連携を深め、新たなシナジーを創出する」としているが、具体的な方向性はまだ示されていない。また、今3月期連結業績への影響については「精査中」としている。

サウジCP12月分は、前月と同価格の1バレル610ドル、ブタンも変わらずの620ドルとなった。

(2023年12月1日配信)

11月24日 東京証券取引所で三菱重工業(GENIX‐CN70構成銘柄)の株価が前日比529円高と大幅続伸し、およそ2カ月ぶりに8800円台まで水準を切り上げた。

同社は11月22日に防衛事業説明会を開催し、来年度からの3カ年は防衛力整備計画の大幅な拡充を受けて同社の事業規模は2倍以上になると発表した。過去長期にわたり同事業規模は5,000億円弱で推移していたが、来年度からの3カ年は1兆円規模になるとした。祝日をはさんでこの日は朝方から買いが先行、業績拡大への期待感を織り込む動きを見せた。株価が1万円に近づいていることから、株式分割を催促する値動きにも映る。

ガスエネルギー新聞が注目する同社のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みも続いている。弊紙11月20日付では三菱重工エンジン&ターボチャージャの「水素混焼50%で安定燃焼、5700キロワット級ガスエンジン」を技術面トップで紹介している。また、同日付紙面には「水素特集」を掲載しており、三菱重工の高砂水素パークなどを詳しく紹介している。

(2023年11月24日配信)

11月14日の東京証券取引所で大阪ガスが4日続伸し、ザラ場の高値は2920.5円まで買い進まれた。11月7日にマークした上場来高値2914.5円を5営業日ぶりに更新した。10月27日発表の中間決算が好感されているほか、同日発表の自社株買いも歓迎されているようだ。マーケットでは、大阪ガスの株価格付けを従来から「買い」としていたみずほ証券が、目標株価を2600円から3300円に引き上げたとの情報もこの日伝わった。

大阪ガスの株価をローソク足(日足)で見ると、11月9日から10日にかけて、さらに10日から13日、13日から14日にかけても連続して窓「空」ができた。4本の陽線と「三空」で形成される高値圏でのこの形は「三空踏み上げ」と呼ばれ、チャートを投資判断のよりどころとする投資家は、空売りを仕掛ける急所とみる。同社株の信用買い残は、売り残が買い残を超過した状態にある。確かに目先は急伸した後だけに強弱感が対立しやすい場面と言えるが、この日の株価は株価純資産倍率が0.7倍台と依然として割安な状態にあることから、むしろ売り方の手仕舞い(買い戻し)による一段の上昇を読む向きもある。

関連記事 大阪ガスが上昇率首位、愛知時計は最高値を更新/GENIX―CN70 - ガスエネルギー新聞 (gas-enenews.co.jp)

(2023年11月14日配信)

 11月2日のGENIX‐CN70は3週ぶりに反発した。自社株買いを発表した大阪ガスが急伸し、最高値を更新したほか、業績好調の日本酸素、愛知時計も高値を更新した。

 中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)の11月分は、プロパンが1トン当たり前月比10㌦値上がりして610㌦(前月比1.67%高)となった。ブタンは同5㌦値上がりして620㌦(同0.81%高)。プロパン、ブタンともに4カ月連続で値上がりした。

 LPG市況に影響を与える原油相場の値動きはこのところ重くなっているが、LPG市況はこれから需要期を迎える季節性もあって、先高観が根強いようだ。日本向け米国産LPGの航路に当たる中南米パナマ運河が、渇水の影響で渋滞解消に時間がかかるとの見通しも強気の見方を支えているようだ。

 CPのこの1年間の価格推移を振り返ると、プロパンは2月に790㌦のピークを迎え、その後は大きく値下がりして、7月に400㌦のボトムを付けている。ブタンも同様に2月の790㌦でピークを打ち、7月には375㌦の安値を付けている。

(2023年11月2日配信)

10月27日 GENIX-CN70は前週末終値から0.2ポイント下落して155.81と2週連続で下落した。東証株価も0.06ポイント下がって142.76となった。

10月以降、株式市場は調整色を強めており、9月最終週との比較ではGENIX-CN70、東証株価ともに約3%下落している。

GENIX-CN70の構成銘柄のうち9月末比で上昇したのは全体の2割16銘柄にとどまる。その中で愛知時計が本年高値を更新したほか、日本酸素、栗本鉄工、川崎汽船などが高値圏で頑強な値動きを見せている。

(2023年10月27日配信)

10月19日の米原油先物(WTI)価格は3日続伸。中東地域の紛争拡大への懸念が市況を押し上げた。

国際ガス市況も値上がりしており、欧州パイプラインガス先物価格(TTF)は13日に百万BTU(英国熱量単位)当たり16ドル台、スポットLNG価格は18日に19ドル台へと上昇している。

イスラエル沖の海洋ガス田(タマル)が操業を停止したと報じられており、このガスを原料とするエジプト産LNGの出荷に影響が及ぶ恐れが指摘されている。

(2023年10月20日配信)

 10月9日の米原油先物(WTI)市況は2日続伸し、1バレル前日比3.59㌦高の86.38㌦に上昇した。6日の米雇用統計は市場の予想を上回る数値で、長期金利上昇を促したが、原油市場は底固い動きを見せた。そこに、イスラエル・パレスチナ間で大規模な武力衝突が発生。中東の地政学的リスクが高まったことで、買い気が優勢となったようだ。また、本年高値を付けた9月27日以降の下げが急だったこともあり、買い戻しも入りやすかったと見られる。

 一方、連休明け10月10日の東京株式市場は、朝方から買い戻しの動きが広がりほぼ全面高でスタート。GENIX‐CN70構成銘柄もこのところ下げがきつかった石油株などが買い気配で始まるなど総じてしっかりした動き。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部の芥田知至主任研究員は当面の原油相場について、「今回の武力衝突にイランの関与があるのかどうかなど中東情勢には不透明な部分があり、不安定要素が増えた格好だ。他方、このところの米長期金利上昇やドル高が原油相場を下押しするとの見方や、米欧の金融引き締め効果で石油需要が鈍化するとの懸念も根強い。さらに中国の不動産不況、全米自動車労組(UAW)のストライキ、米予算審議の難航なども需要を鈍化させる要因として意識されている。当面は地政学的リスクや需給などの強弱材料が交錯する中で、不安定な推移が見込まれる」としている。(了)

(2023年10月9日配信)

米原油先物が10月4、5日と続落し、1バレル82㌦台まで下落、8月30日以来の安値水準となった。4日は下落率が5・61%に達する大幅な下げで、下落率が5%を超えるのは5月2日以来5カ月ぶり。9月27日に付けた本年高値93・68㌦から5日までの下落率は12%強に広がった。市場では、米ガソリン在庫の急増や強含んでいる長期金利の動向を警戒。今晩の米雇用統計の発表を注視している。

一方、米天然ガス先物(HH)価格は3日続伸し、今年3月以来となる百万BTU(英国熱量単位)当たり3ドル台に乗せてきた。

(2023年10月6日配信)

米原油先物が10月4日、前日比5.01㌦安の1バレル84.22㌦と急反落し、8月31日以来の安値水準に後退した。1日の下落率の大きさは5.61%に達した。5%を超える大幅な下げは5月2日の5.29%以来、5カ月ぶり。市場では、同日発表された米石油在庫統計でガソリン在庫の急増が明らかになり、これが利益確定売りを誘ったとの見方が出ている。

JOGMECの首席エコノミスト・野神隆之氏は、「統計で明らかになった米ガソリン需要の低迷は、この時期としては2000年以来の低水準。他にもロシアの軽油輸出禁止の一部解除検討の報道、サプライズのないOPECプラス産油国共同閣僚監視委員会の内容などの弱気材料がそろって現れた。このため、市場は狼狽売りの様相を呈しているが、今年第4四半期に供給不足に陥るとの認識に変化はなく、市場のセンチメントが根本的に変化したとは言い切れない。原油市況は売られ過ぎ気味の領域に入りつつあり、値頃感から買い戻しが発生しやすい状況ではあるが、まずは明日6日発表予定の米国雇用統計が注目される」としている。

10月5日の東証は朝方、昨日までの大幅安に対する自律反発の動きとなり、TOPIXが6日ぶりに反発するなど全般に買い物優勢の始まりとなったが、原油の急落を受けて、GENIX‐CN70構成銘柄のINPEXや石油資源開発など石油関連株は売り気配のスタートとなった。

(2023年10月5日配信)

中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)の10月分は、プロパンがトン当たり前月比55㌦値上がりして600㌦(前月比9.09%高)、ブタンは同50㌦値上がりして 615㌦(同9.82%高)となった。プロパン、ブタンともに3カ月連続で値上がりした。背景には原油市況の上昇が指摘されている。

(2023年9月29日配信)

東証9月28日前場の寄り付きは、GENIX‐CN70構成銘柄のINPEX、石油資源開発、日揮など石油株が大幅高でスタートした。朝方は全般に利益確定売りが先行する中で、石油関連株の値動きの強さが目立った。石油資源開発は2008年以来、13年振りとなる6000円台に到達した。

 前夜27日の米原油先物(WTI)価格は前日比3.29㌦値上がりして1バレル93.68㌦となり、7営業振りに今年の高値を更新した。また、当面の戻りのめどと見られていた昨年10、11月に付けた92㌦台の高値を一気に上抜いてきたことで、市場関係者の間では先高ムードが一層強まっている。

(2023年9月28日配信)

9月22日の東証株価は前夜の米国株式下落を受けて、朝方から売り先行で始まった。GENIX-CN70構成銘柄も商社、海運株など総じて下落した。半面、INPEX、石油資源開発、ENEOSなど石油株の一角は底固い動き。GENIX-CN70は前週末比2.08ポイント下落して164.04ポイントと5週ぶりに下落した。

21日の米原油先物市場は、米金融政策の引き締め長期化懸念が台頭し、利益確定売りに押された。期近終値は前日比0.65㌦安い89.63㌦と、3日続落し、6営業日ぶりに1バレル90㌦台を割り込んだ。

9月25日付紙面の関連記事「原油100ドルが視界に サウジ減産の影響を注視」

(2023年9月22日配信)

9月14日の米商品先物市場では、原油先物(WTI)価格が2日ぶりに反発し、終値は前日比1.64㌦値上がりして1バレル90.16㌦と、当面の節目と見られていた90㌦大台を突破した。90㌦に乗せるのは2022年11月7日の91.79㌦以来、10カ月ぶり。市場関係者の間では、原油需給の引き締まり感から先高を予想する声が強まっている。

原油市況の上昇を受けて、15日の東証ではGENIX-CN70構成銘柄のINPEX、石油資源開発、日揮、ENEOS、三井物産、三菱商事といった、石油やエンジニアリング、商社など資源関連株が一斉に買い進まれた。INPEXは2008年以来、この週急伸した日揮は2018年以来の高値水準。

(2023年9月15日配信)

9月13日の東京証券取引所では、朝方からINPEX、石油資源開発、ENEOSなどGENIX-CN70構成銘柄の石油株が買い先行でスタートし、本年高値を更新した。前夜12日の米原油先物価格(期近終値)が前日比1.55㌦高の1バレル88.84㌦と反発し、約1週間ぶりに本年高値を更新したことが買いの手掛かりになっていると見られる。

原油市場では需給に引き締まり感が指摘されるなど、市況は当面強含むとの見方に傾斜しているようだ。ENEOSのこの日の株価は4年8か月ぶりとなる600円台を目前に捉えている。INPEXは2008年10月以来、石油資源開発は2009年6月以来の高値水準に来ている。

米原油先物は2008年に145㌦の最高値を付け、2011年から2014年にかけて100㌦前後で推移していた。最近の石油株は原油100㌦時代の再来をあたかも織り込むかのような値動きを見せている。

(2023年9月13日配信)

9月8日の東京株式市場は、前夜の米国株式市場の下落を受けて、朝方から利益確定売りが先行する展開となったが、この週のGENIX-CN70は前週末比1.67ポイント上昇して161.86と3週連続値上がりし、前週に続いて指数算出以来の高値を更新した。この週は三菱重工、川重重工、三井物産、石油資源開発などが指数をけん引した。

原油先物価格(米WTI)は9月7日、前日比0.67㌦安い1バレル86.87㌦と、10日ぶりに値下がりし、前日まで値上がりが目に付いたINPEX、石油資源開発、日揮、ENEOS、三井物産、三菱商事などの資源関連株には利食い売りが広がった。

また、個別では、このところ物色人気を集めていた三菱重工も6日ぶりに反落した。半面、三菱重工の急上昇に対して出遅れ感が台頭していた川崎重工はこの日も買いが途切れず逆行高、10連騰となった。

三菱重工の本紙最新ニュース:長崎で脱炭素基盤技術 既存拠点連携し開発推進/三菱重工

川崎重工の本紙最新ユース:世界初ドライ式水素タービン、NOx抑制と高効率を両立/川崎重工
(2023年9月8日配信)

市況情報

【2023 地域活性化フォーラム】自治体と連携し地域課題を解決

【2023 地域活性化フォーラム】自治体と連携し地域課題を解決

日本ガス協会は2月2日、東京都港区の第一ホテル東京で「2023地域活性化フォーラム」をオンラインとのハイブリッド方式で開催し、計約550人が参加した。「地域のニーズを捉え、自治体と連携し課題解決を仕掛ける」をテーマに、基調講演とガス事業者講演を実施。それぞれウェルビーイングを中心に据えた施策のほか、自治体の要望に沿いつつ企業の発展につながる事例を紹介した。

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基調講演(1)「幸せ人口1000万ウェルビーイング先進地域、富山を目指して」:新田八朗・富山県知事

はじめに、1月1日に石川県能登地方を震源とする最大震度7の地震が発生し、富山県内においても観測史上初となる最大震度5強を観測した。石川県の特に能登地方で大変甚大な被害が出ているが、富山県内でも多くの人的被害、家屋の被害に加え、企業の事業活動にも大きな影響が生じている。被害を受けられた多くの方々に心からお見舞いを申しあげる。

富山県は、人口減少や少子高齢化、新型コロナウイルス後の経済回復などの課題解決に向けて、2021年2月に「富山県成長戦略会議」を設置した。県内外の富山ゆかりの実業家など11人が集まり、スタートアップ支援やDX(デジタルトランスフォーメーション)による新産業戦略、ブランディング戦略などについて議論した。1年間の議論を経た結論が、「ウェルビーイング向上を成長戦略の中心に据える」ということだった。

ウェルビーイングとは、身体的、精神的、社会的に満たされた状態のことを指す概念。21世紀は一人一人の主観的な幸せの実感、つまり生活や人生において「質」が重視される。県民それぞれがウェルビーイングを向上できれば次世代に価値を生むような人材を育成でき、その過程で県の魅力が高まれば県外からも人が集まってくる。ウェルビーイングと経済成長の好循環を通じて、新しい社会経済システムの構築を目指す。

これを分かりやすく伝えるため「幸せ人口1000万ウェルビーイング先進地域、富山」をビジョンに掲げた。県内人口は現在約100万人。1000万人とは、定住していないけれど富山につながりがある人、いわゆる関係人口を含めた数だ。22年の関係人口の推計値は約351万人であり、1000万人を目指して取り組んでいく。

●六つの柱で推進

22年2月、会議での議論を基に、ウェルビーイング向上を中核にした「富山県成長戦略」を策定した。戦略の柱は、▽ウェルビーイング戦略▽まちづくり戦略▽ブランディング戦略▽新産業戦略▽スタートアップ支援戦略▽県庁オープン化戦略――の六つ。戦略ごとにプロジェクトチームを設置し、23年度は196事業を実施している。

軸となるウェルビーイング戦略は、全県民を対象にするが、特に若い女性に焦点を当てて進めている。というのも富山は若い女性の社会減が課題となっているからだ。そこで男性の家事・育児参加の促進のほか、テレワークの導入推進など多様な働き方が選択でき、女性のウェルビーイング向上につながる環境づくりを進める。

二つ目のまちづくり戦略で重要なのはデジタル強化と官民連携の深化だ。デジタルに関しては「Digi―PoCTOYAMA(デジポックとやま)」という実証実験を実施。地域課題をデジタル技術で解決し、新たな事業創出につなげるため、全国から公募し、採用された案件に対して実証費用を県が負担する。

官民連携に関しては、事業創出の機会を迅速に進めるため、企業からのワンストップ窓口として22年4月に「官民連携・規制緩和推進デスク」を設置した。1日当たり2件ほどの相談が寄せられる。23年度には「官民連携・規制緩和推進本部」も立ち上げ、情報共有や体制強化を図る。

公共サービスの一つである地域交通に関しては、欧州のモビリティ計画も参考に「富山県地域交通戦略」を今年度に策定する予定だ。地域交通サービスを「公共サービス」と位置付け、持続可能な地域交通サービスを目指したい。

●寿司=富山へ

三つ目のブランディング戦略は、富山の魅力を知ってもらうため「寿司と言えば、富山」を広めていく。アンケートによると寿司で連想する都道府県のうち富山と回答した人は全体の約9%。これを10年後には90%にしたい。食から発信して認知度を上げ、関係人口の拡大を図り、富山=ウェルビーイングというイメージを確立することが狙いだ。また、7月に開業予定の商業施設「KITTE大阪」(大阪市)において、北陸3県が連携してアンテナショップを出店予定だ。こうした機会も生かしながら情報発信に努めていく。

四つ目の新産業戦略に関して、富山は製造業が多く、カーボンニュートラル(CN)への貢献に力を入れる。例えば豊富な水を活用した小水力発電開発の検討を進める。また、富山は医薬品産業が盛んで、この産業をさらに強化すべく産学官連携の「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムで、研究開発や人材育成の強化を図る。

DX推進によるデジタル人材の育成は、シンガポール国立大学との連携や、中高生を対象にしたプログラミングスクールを開催している。さらに富山県立大学では産官学の育成拠点となる「DX教育研究センター」を設置したほか、今年4月にはデータサイエンス人材育成のための新学部「情報工学部」を開設予定だ。

●地域企業への期待

五つ目のスタートアップ支援戦略では、本県経済をけん引するような新たな企業を創出するため、高い成長が見込まれるスタートアップを選定し、これまで9社に対して伴走支援をしてきた。成果指標として、26年度までに上場会社1社、大学発ベンチャー10社以上の設立を目指す。

最後の六つ目は県庁のオープン化戦略だ。政策づくりへの県民参加や行政サービスの向上によってウェルビーイングを上げる。しかし、県庁への要望は多様化、複雑化しており職員だけでは対応できない課題もある。そこで、官民連携、広域連携が重要だと考える。企業にとっても従業員のウェルビーイングが向上すれば、クリエイティブな能力や生産性、営業成績が上がるといわれ、それが地域全体の成長につながる。ぜひ、自治体との良い関係づくりを推進していってほしい。

●基調講演(2)「市民の幸福感を高めるスマートシティの思想」:南雲岳彦・一般社団法人スマートシティ・インスティテュート専務理事

当法人は、スマートシティを推進する産官学連携プラットフォームとして2019年に立ち上がった。

スマートシティとは、人口減少や高齢化の課題に対し、テクノロジーで解決する取り組み。日本は大都市圏以外で人口減少が進む。それに伴い税収も減少すると見込まれ、解決策としてスマートシティの導入が急がれている。

スマートシティという言葉が使われはじめた当初はエネルギーや環境分野の課題に関する取り組みを意味していた。現在は人間中心主義という意味で使用される。一人一人のライフスタイルの変化に合わせてデジタルの恩恵を受けられる社会を構築することで、国民の豊かな暮らしを実現する。

この未来像を実現するために日本政府は「デジタル田園都市国家構想」を掲げ、スマートシティの実装地域を25年までに100地域にする目標に向けて交付金を交付している。デジタル実装タイプは46都道府県、1009市区町村が採択された。

交付金を基に全国各地でスマートシティの実装が進む中、先駆けといわれるのが福島県会津若松市だ。食農業や決済、観光など分野ごとに具体的な取り組みが進んでいる。例えば、食農業分野では、形が悪く出荷できない野菜等を生産者から飲食店に直送する需給マッチングプラットフォームがある。決済分野では、デジタル地域通貨を導入、スマートフォンなどから市役所の手続きができるなど、いわゆるデジタルガバメントが進む。茨城県境町は全国で初めて自動運転バスを導入した。今はフェーズ2の段階だが、いずれはフェーズ4に移行し、運転手がいないバスの運行が実現するだろう。

これらのスマートシティが成功する地域の共通点は五つ。一つは地域空間の境界がはっきりしており、運命共同体意識や市民参加意識があること。二つ目は、自分の生きがいとして街づくりに参画する人がいること。三つ目は行政主導ではなく、各地域の民間企業が率先して行っている。四つ目は、地域の課題ばかりを探さずに地域の魅力、ウェルビーイング因子を見つけ、それを強みにする。五つ目は近接性。産官学民が顔の見える距離で意見交換できる場があるということ。

中でもスマートシティに有効なウェルビーイング因子は、アンケートやデータから分析できる。アンケート調査は生活満足度や感情・思考に関するもので主観的幸福に、所得額や出生率、労働時間などデータで得られるものは客観的幸福としてそれぞれ分けられる。それらを照らし合わせ、その指標が政策と重なり合っていたら適切な政策だということも分かる。

●住民の幸せを政策に

ウェルビーイングは住む環境によっても異なる。日本と米国では違うし、日本の中でも地域によって異なる。地域のウェルビーイングを考えるには、三重の円の構造で考える必要がある。中心に住民自身がいて、その周りに地域社会があり、一番外側に都市機能や自然環境といった生活環境がある。この構造から地域の人間関係や生活環境が住民自身の自分らしさにどう作用しているのかを読み取る。

例えば、住民が都市機能から大きな影響を受けている場合、「移動・交通」「買い物・飲食」などというウェルビーイング因子に対して客観指数(KPI、重要業績評価指標)の目標達成に向けた政策デザインを設計することが可能だ。街を作ってから都市機能について意見を聞くのではなく、住民の幸せを分析し、そこに合致する街づくりを行う。これを「ウェルビーイングバイデザイン」という。

●新事業は満足度高

内閣府の世論調査によると「物の豊かさ」か「心の豊かさ」のどちらが重要かという質問に対し、高度経済成長以降、物の豊かさと答えた人の割合は一定水準にあるが心の豊かさと答えた人は右肩上がりになっている。これは「イースタリンのパラドックス」と呼ばれる現象で、所得が一定程度を超えるとさらに所得が増えても幸福度は上がらず、逆に下がることもある。つまり、経済的に豊かでも精神的な豊かさにはつながらない。

今年度、当法人が実施した全国の幸福度、生活満足度調査では、10代から70代以上の約8万5千人にアンケートを取った。全体的に女性のウェルビーイングが高いという結果が出た。これは地域にネットワークを持っているからだと推測する。幸福度の最も低いのは40代男性、生活満足度で最も低いのは30代男性だった。

また、市区町村の自治体単体でウェルビーイングと相関性が高いものをまとめた。幸福度1位は健康、2位は自己効力感で、3位は公共空間。これは住む街の雰囲気が合っているかどうか。4位の教育機会の豊かさは、子供の場合と大人の学び直しの両面がある。5位には地域とのつながりや多様性・寛容性がある。生活満足度では、1位が公共空間、2位が教育機会の豊かさ、3位は地域行政とある。また、5位には事業創造がランクインしている。やはり、新しい事業が多く生まれる街に住む人は生活に満足している割合が高いことが分かる。

このような自治体別のウェルビーイング因子と幸福度・生活満足度との相関は当法人のホームページから無料で閲覧が可能だ。データを活用して、街固有の魅力となるウェルビーイング因子を見つけ、街づくりに参画してほしい。

●事業者講演(1)「地域とともに―地方自治体との連携―」:中井茂平・上野都市ガス代表取締役社長執行役員

当社は1927年に上野ガスとして、伊賀上野の俳句をたしなむ青年実業家達が立ち上げたユニークな会社だ。近年では「ライフラインの上野ガス」というテーマを掲げ、伊賀市を中心に活動している。本社がある伊賀市(旧上野市)は、大阪と名古屋の中間にあり、忍者と松尾芭蕉などでまちおこしをしている。

都市ガス事業は81年に子会社化し「上野都市ガス」として、LPガスなどを取り扱う上野ガス(顧客数約1万8千件)を親会社に8社のグループ会社を擁する。都市ガス事業(同約1万件)は創業96年、建築業の上野ハウスは創立54年、通信事業の伊賀上野ケーブルテレビ(CATV)が創立33年など、グループ社員は約300人だ。当社の2022年度の連結売上比率を見てもらうと、上野ガスは親会社だが4分の1ほどで、加えて15%以上を占める会社が4社もある。人口9万人程度の伊賀市以外ではほとんど事業は行っておらず、当社が業種業態を変えて展開している。また、グループ間の商取引はほぼなく、各社で努力をして利益を出すよう自主経営を尊重している。新規事業を起こす際は売り上げ10億円、25人の雇用を目指す。

新しい試みでは森林を12・9㌶所有し、社内で発生する二酸化炭素のニュートラル化(オフセット)にも取り組んでいる。また、電力のPPA(電力購入契約)も4件を獲得した。コロナ禍での飲食店応援のためにガス機器購入者にグルメチケットを配る試みも3年間続けている。商工会議所やロータリークラブなど地元団体への人員も多く出し、地元密着度を高めている。入社5年以内の新入社員は「地域貢献室」と業務を兼務している。祭りやボランティア活動にも積極的に参加し、地域密着のDNAを養っている。

地域の少子化対策として、18年に子育て支援料金メニューを展開している。子供が3人なら3%、4人なら4%、5人なら5%とそれぞれ5年間が割り引きの対象期間だ。少子化をなんとか食い止めたい。また、高齢化対策にも力を入れる。市と見守り協定を締結し、社員の多くが認知症サポーター教育を受講。上野ガスは老健サポートを、上野ハウスは訪問看護事業を展開している。

●災害、教育などで連携深化

伊賀市とは災害時に宅配水を配送する協定を締結。コロナ禍には社会福祉協議会と協定を結び罹患者宅に食品を置き配するサポートも行った。

学校・教育支援としては、小学校への環境出前授業は18年間行っている。小学生にタブレット等を配布し、ウェブ環境を整え、学習に活用する文部科学省のギガスクール構想に関して、学校へのネット回線の導入・設定、アフターフォロー等も、すぐに対応できる伊賀上野CATVが請け負った。さらにPFI事業で市内全小学校への給食の配送を行っている。また、斎苑のリニューアル事業も受託、今年7月から運用を開始する。

新しい試みである給食センターのPFI事業は、15年間、43億9千万円で受注した。20年4月から開始している。多業種を有するグループメリットを生かし、上野ハウスは建築、上野ガスはLPガス供給、上野ガス配送センターは給食配送により新たな人員雇用、外部収入源を確保することとなった。この3社が給食調理会社と共にSPC(特別目的会社)に資本参加する。

斎苑のPFI事業は、15年9カ月、26億3千万円で受注した。上野ガスが主となり、上野ハウスと共にSPCに出資。燃料供給の選択肢に都市ガスを含む入札だったため上野ガスと上野都市ガス間の情報を遮断し、提案に挑んだ。提案金額は他社よりも高かったが、災害時対応など危機管理が評価され、採用となった。

●地域になくてはならない会社

当社が取り組む事業には基準がある。それは自治体が募集する広く多くの市民に関係する事業で、さらに市民に長く関係する事業であること。ガス事業はまさにそうだ。

また、三重大学との連携も進めている。都市間競争における伊賀市のまちづくり、学術面の向上のため誘致活動を行い、09年に三重大の研究拠点ができた。産学連携や留学生との交流、大学と顧客企業との共同研究の支援も積極的に行っている。伊賀市でPRする忍者についても大学内に「忍者研究センター」が設立された。

これからも伊賀市との連携を強化して、グループで協力して積極的に半官半民の事業に進出していきたい。100周年も間近なので、新たに農業や林業、陸上型水産業も検討している。

一番大切なことは、お客さまに近づく努力を怠らないこと。地域になくてはならない会社を目指していく。

●事業者講演(2)「街の活性化にむけたハブ創り―“nodoca”とブランディング―」:前田健之輔・筑紫ガス代表取締役専務

複合施設nodocaと会社のブランディングを見据えながら、私たちがハブとなって進めている、地域の活性化について説明する。

当社は1964年に創業し、今年で60周年になる。従業員数は76人で、本社がある福岡県筑紫野市、さらに太宰府市、小郡市、筑前町、佐賀県基山町の3市2町が供給エリアで2県にまたがっている。顧客件数は3万7千件で、うち3万6千件が家庭用だ。ガス販売量の6割を占める工業用・商業用の大口需要家は基山町に集中している。

この地域は福岡市のベッドタウンで、未だに転入者が転出者を上回っており需要増が見込まれる。一方で、これから徐々に高齢化は進展し、生産年齢人口が少なくなっていくことも考える必要がある。

●地域にアクションを!

私たちの姿勢も変わってきた。以前のお客さまから依頼がないと動かない「街(待ち)のガス屋」からコンセプトを転換した。地域を元気にするためのアクションを起こしていく会社を目指す。

まず、情報誌・ガスナビを刷新し、読者の若返りを目指した。展示会・ガスフェスタは地域の皆さんにきてもらえる仕組みを作り「ガスまつり」にチェンジ、今年度は来場者が8千人を超えた。SNSも活用し、フォロワーを増やしている。また、中期経営計画を作り、その中で地域戦略も掲げた。そして、最終的なアクションとして、「nodoca」が誕生した。

当社では、地域を盛り上げるための交流や情報発信の拠点がないことが課題だった。その中で筑紫野市が上下水道庁舎の跡地を活用した公募型プロポーザルを募集した。ここはJR二日市駅徒歩1分の場所で、まちの中心だ。公共公益施設が集約し、交通の拠点であるこの土地で多様な交流や地域のにぎわいを作るにはぴったりの立地だった。同時に、私たちが情報を発信するにも理想的な場所であったため、パートナー企業と共に応募して、提案が採択され、nodocaが完成した。

●nodocaで地域をつなぐ

nodocaのコンセプトは、(1)(大宰府や豊富な温泉、寺社など)歴史・文化を生かす(2)(周辺の)都市・他地域とのつながり(3)(エネルギー会社として)持続可能な暮らしの提案(4)地元(二日市)とのつながり――の4点だ。

建物は中庭を挟んでガス棟と保育棟からなり、いずれも2階建て。2022年にガス棟が完成、ショールームやカフェが稼働し、料理教室もできる。23年からは保育園が開園。地域で活躍する女性を増やし、待機児童を減らしたいという思いがあった。

来館者は、年々増えており、昨年末で開館以来3万人を超えた。来館者の属性は、67%が筑紫野市からの来館で、60%がカフェの利用が目的。35~44歳が45%を占めて、86%が女性だ。

この数字は課題でもある。まず、エリアの偏りを改善するために、来館者が少ない地域の店舗とのイベントを企画し、nodocaの利用者に店の存在を知ってもらうと共に、普段から店を利用している人にも、nodocaを知ってもらう機会を作った。カフェ以外の利用についても、また来たいと思わせるイベントを充実させた。現在は、マルシェや子ども食堂、離乳食教室など、地域の人たちにも自主的に活用してもらい、多様なイベントを開催している。

私たちはnodocaを活用するに当たり、▽まち(市役所、商工会、学校等)▽ひと(子育て世代、子供、高齢者等)▽企業(会社、生産者、飲食店等)――の三つの軸を設けた。これらがnodocaでつながり、ハブになることを目指している。例えば、小郡市とハウスメーカーをマッチングさせ、同市の物産イベントや分譲地のPRをnodocaで開催した。また、小郡市の子どもたち向け人材育成プログラム・小郡寺子屋にも参画している。地元の筑紫野市とは子供達に地産地消の大切さを知ってもらうため、市と生産者と協力してイベントを行っている。

これからnodocaを中心にした地域間の輪を作っていく。五つのエリア(3市2町)を舞台に、nodocaあるいは筑紫ガスを通して、循環の波となる「地域活性化」を作っていきたい。この波が大きくなることで、各エリアが発展し、私たち企業も発展していくだろう。

そのために、まず私たちからnodocaを通じてアクションを起こす。企業の持続的成長のためには地域活性化が必要だ。まち・ひと・企業をつないでいくのが都市ガス事業者の使命だと考えている。

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「リスクを取って挑戦を」:西山卓・日本ガス協会地方部長

日本ガス協会は、2019年から「地域活性化フォーラム」を毎年開催している。これまで、地方ガス事業者の持続的発展に向けたヒントになり得るテーマを取り上げてきた。5回目となる今回は、自治体との連携によって地域貢献するとともに事業成長につながる事例を紹介した。

これまでのフォーラムを振り返ると、1~2回目はそもそも「地域活性化とは何か」がテーマだった。3回目は地域の社会課題を解決するための事例、4回目は民間企業にできることや具体的な導入例を紹介してきた。こうした取り組みを経て各事業者に地域活性化の考えが浸透していることから、醸成ステージは完了したと考える。これからはアウトプットしていき、各事業者の経営にどう落とし込むかという段階だ。

ガス事業者は全国に約190者あり、約190通りの課題がある。解決策に正解がないのが悩ましいが、各社の取り組み実績が増えることで横展開の可能性が広がる。それが持続的な会社、ひいては地域につながっていく。地方ガス事業者には事例などを基にリスクテイクもしっかり見ながら新しい取り組みにチャレンジされることを期待する。

地方ガス事業の事業環境は大きく変化している。カーボンニュートラル(CN)への対応や人口減少、地域経済の停滞などさまざまな課題がある。そのため、日本ガス協会は地方ガス事業の持続的な発展に向けて(1)新たな事業を創る活動(2)持続的な地域に向けた活動――の二つを軸に伴走支援の強化を図る。

(1)の新たなガス事業を創る活動は、CN達成に向けて、クレジットの活用やバイオガスの導入、将来的な地産e―メタン製造への可能性など地域特性に応じた取り組みを推進。(2)の持続的な地域に向けた活動は、各地域の共通する課題を抽出して勉強会で共有するほか、新たな取り組みに立ち向かう際の突破力を養う人材育成にも着手する予定だ。

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