ガスメーターや警報器、ガバナーなどのガス関連機器メーカー、システムベンダーは、需要家のニーズに対応した製品・システム開発を進めている。ガスエネルギー新聞は、各社の最新技術・製品・システムを紙面で紹介する。
●I・T・O―防災対応システムBOGETSを提案〇問い合わせ営業本部業務課(電話)072―981―3781
ガス供給機器メーカーのI・T・O(旧伊藤工機)は、地震や台風でライフラインが停止した時に、LPガスを利用して、都市ガスと電気をつくることができる防災対応システム「BOGETS」の提案を行っています。BOGETSは、液化石油ガスエア(プロパン・エア)発生装置「NewPA」、ガス発電機、耐震LPガス容器スタンド、都市ガスとプロパン・エアーガスを切り替えるワンウェイロックバルブなどで構成され、災害発生から72時間をしのぐことをコンセプトに開発されました。
システムの根幹をなすプロパン・エア発生装置「NewPA」の起源は1995年の阪神・淡路大震災まで遡り、この時に初めてガス事業法の下で運用を行い、被災地にて臨時のガス供給を行いました(製品名は移動式ガス発生設備)。
その後、2007年に発生した新潟県中越沖地震での災害対応で注目され始め、11年の東日本大震災でも活用され、その存在が広く認知されるものとなりました。12年10月には経済産業省から通達が出され、これまではガス事業者のみが所有することが認められていた同装置を高圧ガス保安法の下で一般需要家でも所有し、設置することが認められました。
しかし同装置の有用性は認識されたものの、従来型では手動による都市ガスラインとプロパン・エアーラインの切り替えなど複雑な作業が必要で専門性も高く、操作要員の確保が課題でした。これらの問題を解決したのが、冒頭の防災対応システムBOGETSとなります。
ガスに関する専門知識がなくても、簡単に操作できるよう、操作画面の表示と音声ガイドで手順を分かりやすくナビゲーションし、制御盤内のタッチパネルを操作していくだけで装置を稼働できるシステムとしています。19年にはコージェネ財団より「新型プロパン・エア発生装置を用いた防災減災対応システム」としてコージェネ大賞技術開発部門特別賞を受賞し、さらに22年にレジリエンスジャパン推進協議会より「寝屋川市立中学校体育館の空調設置に合わせた防災減災対応システム『BOGETS』導入による避難所のレジリエンス強化」として最優秀賞を受賞しています。
I・T・Oでは現在、全国の自治体に小中学校の体育館空調のバックアップ用として防災対応システムBOGETSの導入提案を行っています。最近は学校などの公共施設のほかにも、病院や老健施設、高級マンションからも防災のため、引き合いが増えてきています。
●オータス―進化を続けるオータスAI技術、API提供で他サービスとの連携も実現○問い合わせシステム営業部(電話)022-712-7571
オータスは、基幹系業務パッケージシステム「GamcisSMART+(ガムシススマートプラス)」、顧客向けポータルサイト「GamcisPortal(ガムシスポータル)」、セールスフォースを活用した営業支援システム「GamcisCRM(ガムシスCRM)」などのガス事業者の業務をトータルサポートするシステムを開発、提供、運用支援等のサービスを行っております。
そして現在はこれらのパッケージシステムに加えた「ガス事業者向けAIソリューション」としてAIに関する製品開発と普及活動に注力をしており、全国のガス事業者に対して業務効率化に関する支援を展開しております。
「より身近な業務にAI技術を」というコンセプトの下、全国各地の都市ガスユーザーをご支援することで蓄積した業務運用支援ノウハウを生かし、ガス業務に活用できる画像認識技術、文字認識技術を始めとしたAI技術で皆さまのお役に立つことを目指しております。
そうした画像認識の技術を確立し、オータスでは「メタリス」という製品を開発しました。
メーターに付随した情報(型式、号数、社番、検満年月など)をカメラで読み込んだデータをAIにてテキスト化し、アプリに取り込むことでモバイル端末での手打ち作業を軽減させます。現場サイドで行っていた擦り取り作業をなくし、データエントリー業務の効率化を図れます。また、作業依頼者・管理者側では作業指示書等の帳票類のペーパーレス化、画像付きでの報告ができるので情報共有の正確性を高めることができます。また、CSV抽出機能がデフォルトで装備しているため、お使いの基幹系システムと連携を図ることも可能です。また、ウェブアプリケーションのため、どのようなOSでも使用できます。スマートフォン、iPadなどのタブレット端末などハードウェアには依存しません。既存のハードウェアから活用できます。
さらに最近では、既存ホームページの器具修理問い合わせページに対してAPI提供を実施し「部品」としての提供を行っております。顧客が撮った写真をAIにてテキスト化し表示することでスピード感のある御見積提出や対応に関する支援を実施しております。
また、倉庫管理業務の実例としては使用している帳票類に記載された文字の読み取りを行うことで照合作業の簡略化などの支援も可能としております。読み取ったデータや照合結果をテキスト化し既存の基幹系システムと連携を図ることでバックオフィス業務の負担も軽減します。他社基幹系システムとシームレスな連携を図ります。現在は工事関連業務での展開を企画しております。
今後の技術面の展開としては、映像解析AIの開発に取り組んで参ります。より多くの情報をAIでデータ化し、情報の蓄積を重ねることでさらなる納入企業における業務改善に寄与いたします。どのようなことでも構いませんので気軽に問い合わせいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
●新コスモス電機―さらに機能を拡充した新しい「ガス警報器」「火災警報器」○問い合わせリビング営業本部(電話)06―6308―2310
当社が世界で初めて開発した家庭用ガス警報器は、ガス漏れをブザーで警報するタイプからスタートし、音声による警報、不完全燃焼による一酸化炭素(CO)検知、火災による熱や煙の感知など機能を向上させてきました。
◇発話機能でスマートな生活を実現するガス警報器「しゃべりお」
家庭用ガス警報器は、台所のガス漏れを検知することで安心・安全を顧客にお届けする重要な役割を果たしています。近年当社では、熱中症になりやすい環境や空気が乾燥しインフルエンザ等にかかりやすい環境をお知らせする機能を持つタイプや、インターネットに接続してスマートフォンで警報器の鳴動状況やドアの開閉などを確認することができるタイプなど、新たなサービスを付加した家庭用ガス警報器を開発しています。
2023年2月に発売した「しゃべりお」は、ガス漏れなどを検知する従来の機能に加え、インターネットに接続し気象警報や天気予報などを発話する警報器です。昨今防災意識が高まる中、お住まいの地域の気象警報を警報器がお知らせすることでより安心・安全をお届けすることが可能です。またライフスタイルの多様化が進む中で、あらかじめ設定したタイミングで天気予報を知らせたり、内蔵された人感センサーを用いて家族の帰宅をメールで通知したりと、スマートで豊かな生活を実現するさまざまなサービスを提供します。
◇一酸化炭素(CO)検知で、火災をより早くお知らせ「PLUSCO(プラシオ)」
2011年にすべての住宅で火災警報器の設置が義務化されて以降、住宅火災の死者数は微減傾向にあったもののここ数年は横ばいとなり、現在も年間約900人が命を落としています。消防白書によると、建物火災の死因の約4割が「一酸化炭素中毒・窒息」によるもので、火災における一酸化炭素検知は大変有効です。
2022年9月に発売した「PLUSCO」は、COを検知することで、火災をより早くお知らせします。「火災から一人でも多くの命を救いたい」という想いから開発されました。CO濃度が100ppmを検知すると、LED点滅と音声でCO注意報をお知らせするとともに、煙センサーの感度を自動的に2倍に引き上げます。それにより、通常煙濃度5~15%/mで火災警報を発報するところを2・5~7・5%/mと約半分の煙濃度で、より早く火災をお知らせします(CO反応式)。
●新和産業―低価格で高性能な地震計を全国のガス事業者へ○問い合わせ営業本部(電話)06―6683―0701
新和産業は、地区ガバナー非防爆エリアやガス事業者の本社屋などへの設置を想定した地震計(スリーエス地震計SW―5033)を8月から販売しています。同製品は、新和産業が持つさまざまなニーズ情報を基にセンサーメーカーのIMV(大阪市)が開発した製品で、従来のガス事業者向け地震計に比べ価格を大幅に下げており、地震計の追加設置や更新を計画するガス事業者に向けて提案を進めています。
スリーエス地震計は、従来品の地震計に比べてコンパクト化し、高さ90×幅70×奥行40ミリメートルのサイズを実現しており、設置場所を選びません。また、防水防塵構造を採用したことで、安心して屋外に設置することができます。さらに、耐衝撃性能を高めており、運搬時や設置時に万一落下させても破損の可能性を軽減できます。
電源にはDC12ボルトを使用し、地震発生時にSI値(カイン値)と加速度(ガル値)のデータを制御盤へ同時出力します。また、テレメーター経由で監視センターに送信する事でガス事業者はリアルタイムで、SI値(カイン値)と加速度(ガル値)を容易に確認でき、ブロックごとの遮断などの判断ができます。
IMVは、振動に関する技術を多数保有し振動計測に関しても50年以上の実績があります。この度、この技術を生かし新たに地震計用の振動センサーを開発しました。従来品よりも低コストのセンサーですが、既存製品に搭載されている3軸センサーと同等の性能を備えています。また、防爆性能を除き機能をシンプルにしたことで、製品全体の低コスト化を実現しています。
国のガス安全高度化計画では、地震対策の強化をガス事業者に求めています。ガス事業者に対して、地震の被害状況を的確に判断し、ガス漏えいによる二次被害が懸念されるエリアは迅速な供給停止を行うことが基本であるとしています。同時に、被害が軽微なエリアについては、供給を継続することが求められます。こうした対応をとるには、供給ブロックの細分化を進めて供給エリア内に地震計を設置し、即時に供給停止を行う体制が必要です。ただ、ガス事業者の中には、コストの高さなどから地震計設置をちゅうちょするところも多いのが実状です。
新和産業は、低コストで高性能の地震計として、製品をガス事業者に提案しており、単位ブロックごとに複数個の地震計設置を進めたい考えです。
●JFEエンジニアリング―中圧ノーブロー工法、適用口径の拡充および装置国産化○問い合わせエネルギー本部営業統括部ガス営業部(電話)045-505-7141(代表電話)
当社と東京ガスネットワークは、活管分岐・遮断工法である中圧ノーブロー工法に使用する継手のラインナップを拡充することに成功しました。これまでの100A~750Aの継手ラインナップに新たに小口径の80Aを加え、これにより小口径を保有するガス事業者に対しても本工法を提案できるようになりました。さらに、ノーブロー施工装置の国産化開発により、施工装置の提供・補修も可能となりました。
ガス導管工事においては、新規需要に対応するための分岐工事や他工事に伴う移設工事、設備更新に伴う取替時の遮断工事などが多く発生します。通常は、これらの工事は上下流のバルブを操作し、ガス供給を停止または本管内を減圧してから施工しなければならないため、需要家との調整など多くの制約がありました。しかし本工法は、これらの調整が不要であり、さらに運用中のガス導管に対し活管状態で分岐工事や遮断工事ができるため、需要家への供給を継続したまま工期の大幅な短縮が可能となります。
当社は、ガス事業者の強い要望を受け1982年から海外技術を国内導入する形でノーブロー工法の開発を行い、小口径から順次現場適用を進めてきました。継手構造の改良を重ねた後、1995年より現方式の施工法が確立されましたが、継手・施工装置とも海外から輸入して施工していたため、継手の発注から納品までに半年以上のリードタイムが必要でした。
さらに施工装置の修理・メンテナンスにも時間を要し、材料供給の調整や施工装置トラブルへの迅速な対応も困難でした。そこで、2011年より東京ガスネットワークと共同で、主要な口径である100A~300Aの継手国産化に取り組み現場導入を進めてきました。
さらに2020年からはノーブロー施工装置の国産化にも成功し、2024年度から現場導入予定となりました。これらの開発・国産化により、今まで提供してきた材料供給・敷設施工のサービスに加えて、施工装置の提供・補修にも対応可能となります。今後も当社では、適用口径の拡充を推し進めるとともに、ガス事業者の多様なニーズにお応えしてまいります。
●アークエルテクノロジーズ―都市ガス事業会社向け温室効果ガス(GHG)排出量算定・可視化サービス○問い合わせアークエルイーカーボンフォーエナジー事業部担当者小堺理史(こざかいさとし)メールアドレス:eCarbon@aakel.co.jpサービスサイト:https://aakel.co.jp/ecarbon
「AAKELeCarbonforEnergy(アークエルイーカーボンフォーエナジー)」は都市ガス事業者向けに特化した温室効果ガス(GHG)排出量を算定・可視化サービスです。このサービスは、一般的な共通機能に加え、都市ガス事業会社特有の課題を解決する三つの機能の特徴があります。
(1)他燃料から天然ガスへの燃料転換等によるGHGの削減貢献量の算定機能(2)拠点・事業セグメント別の集計機能(3)原単位による目標設定機能を備えています。(1)の削減貢献量は、スコープ4という新たな概念として近年注目を集めています。具体的には、自社の製品・サービスを提供することで、社会全体で見たときのGHG排出量の削減に貢献した量を指します。削減貢献量の可視化は、エネルギー業界全体が脱炭素化社会へ移行を加速させる上で非常に重要な課題として認識されています。都市ガス事業者は、他燃料から燃転した企業に新たにガスを供給すると、供給量の増加に伴いスコープ3は増加してしまいます。その一方、社会全体で見るとGHG排出量は削減できることになります。都市ガス事業者はGHGの排出量とは別に削減貢献量を算定・公表することによって企業の価値向上につながります。当社の削減貢献量算定機能は、経済産業省の「温室効果ガス削減貢献量ガイドライン」に基づき、大手都市ガス事業者と共同で開発しています。
(2)の拠点・事業セグメント別の集計機能があることによって、拠点グループやセグメントを設定することができます。そのため複雑な事業体でもさまざまな単位で集計することが可能です。
(3)原単位による目標設定機能も備わっており、拠点ごとに原単位で目標設定が可能です。原単位は延べ床面積や売上高など自由に設定可能なため、目標設定や管理の煩雑さを解決することができます。
当社が「AAKELeCarbonforEnergy」の開発に乗り出したきっかけは、当社の既存事業であるDX支援やGX支援を通じて都市ガス事業会社の課題に直面したことでした。2022年よりプライム市場の上場企業に気候関連情報の開示が義務化され、対象事業者だけでなくサプライチェーンに当たる企業もカーボンニュートラルに向けた対策を求められるようになりました。都市ガス業界にカスタマイズ開発した「AAKELeCarbonforEnergy」は、GHG排出量の見える化だけでなく、燃料転換等による社会全体の削減貢献量を可視化することで、都市ガス事業者のカーボンニュートラルを支援します。無料のトライアルも行っていますので、是非お問い合わせください。
●アズビル金門―ガス事業者とガス利用者をつなぐ「スマート保安ソリューション」のご紹介〇問い合わせ営業本部SMaaS事業推進部(電話)03-6258-5352営業本部ガス機器営業部(電話)03-6258-5343
高機能普及型膜式スマートメーター「NX―U/JX―U」とガス事業者向けクラウドサービス「ガスミエールC」について紹介させていただきます。「NX―U/JX―U」は、検針業務等の移動コストを削減するUバス通信を有しており、従来からご使用いただいているメーターからの改造による有効利用が可能なこと、震度5強相当の揺れを検知して感震遮断後、自動的に漏えい確認を行い復帰する機能を有していること、保安機能向上のため圧力センサを採用していることが特徴です。「ガスミエールC」は、検針員不足やヒューマンエラーを解消したい、災害などの非常時に現地の圧力状態を迅速に把握したいといったガス事業者の生産性向上に貢献いたします。メーターで取得したデータをクラウドに送信し、粒度の細かいデータを活用することが可能なガス事業者とガス利用者をつなぐクラウドサービスです。
「メーターデータクラウドサービス(MDCS)」について紹介させていただきます。このサービスは大容量メーターのデータ収集を自動化し、当社のクラウドサーバーにアクセスするだけで、時間や場所を問わず需用家のガス使用量データをご確認いただくことが可能です。
例えば、過去と現在の使用量の比較や、1時間単位の使用量を確認することで、需用家の状況の変化などを早期に気づくことができ、最適なタイミングで料金メニューやサービスの提案を行うことが可能になります。さらにお客さまのニーズに合わせたさまざまなサービスプランをご用意しています。そのうちの一つ「おまかせパック」は、メーターと計装機器を当社で管理することで、ガス事業者でのメーター交換などの期限管理やメンテナンスなどの業務改善、負荷軽減や総資産利益率向上といった効果が期待できます。データの活用をさらに進める機能を追加するさまざまな検討を行っております。今後の取組みについても、「ガスミエールC」とともにご期待ください。
●光陽産業―バイパス機能付きメーターユニット〇問い合わせ第二営業部(電話)03-5702-1221
当社は、北海道ガスと共同開発した「バイパス機能付きメーターユニット」の量産準備を進めており、来年春ごろ販売開始を予定しています。
通常ガスメーターを交換する際に、ガス供給が停止され、その間顧客は、ガス機器を使用できなくなります。そのため、事業者によるメーター交換作業は、ガス供給停止のため、作業周知や、在宅調整、不在による待機、再訪問による対応が問題となっております。
近年、設置が増加しているエネファームは、24時間稼働に加え、停止後の再稼働に時間がかかる機器であり、あわせて業務用需要家においては、24時間営業や日中のガス停止調整が難しい顧客への対応に苦慮しております。
ガスメーター交換時にガス供給を停止させずに作業できれば、ガス機器使用中、顧客の在、不在にかかわらず、交換作業が可能となります。
この課題に新しく開発を行ったのが、「バイパス機能付きメーターユニット」です。
特徴として、入口管と出口管をバイパス管でつなぎ、ガス供給をしたまま、ガスメーターの交換が可能となります。
これにより、いままで顧客の都合による作業であったものが、事業者による計画作業にすることができます。
現在、試験評価が終了し、2020年より、マンション、戸建て住宅、24時間営業の飲食店等に、モニター施工を順次実施しています。
製品構成
入口管、バイパス管、出口管それぞれに切り替えバルブを有し、それらを固定する固定板とともに構成されています。
特徴
(1)三つの切り替えバルブの操作により、ガス供給を停止させずにガスメーターの交換が可能です(三つのバルブは、JISS2120ガス栓の基本性能に準拠)。
(2)専用工具で切り替えバルブを操作するため、誤操作防止、ガス盗用の防止機能が備わっています。
(3)出口管の検査口よりガスメーター交換後のガスメーター内のエアパージが可能です。
●大東電材―新型PE管防護材「パイプフィットガード」〇問い合わせ中部北陸支店(電話)052―931―7576
大東電材は、2019年12月、東邦ガスネットワークと共同で中圧ポリエチレン管(PE管)の他工事対策として、新型の防護材「パイプフィットガード」を開発しました。東邦ガスネットワークでの採用だけでなく、現在大東電材では同製品の他事業者への積極的な外販活動にも取り組んでいます。
PE管は優れた耐震性を持つ一方で、鋼管や鋳鉄管と比べて耐衝撃性は低いです。特に中圧に用いるPE管はガス事業者以外の工事による損傷事故が起きた場合の影響が大きく、事故によるガス漏洩を防止するため、防護措置が必要とされます。
大東電材では、これまで防護シートをPE管に巻き付けて防護する『PE管防護材(Sタイプ)』を製品ラインナップしていましたが、今回、防護シートと2種類の防護板を用いることで大型の掘削機の打撃に対してもPE管を防護できる新製品「パイプフィットガード」をリリースしました。
同製品は、PE管本体に巻く「防護シート」と、PE管の側面を防護する「側板」、そしてPE管上部を防護する「天板」で構成されています。側板は150Aと200A用のPE管側面に密着する円弧形状を採用し、施工性と防護性を高めました。また、左右の側板を連結ひもで結ぶ構造とし、持ち運び易さだけでなくPE管への取付け作業の容易性にも貢献しています。さらに、側板は積み重ねることができ、曲率が変化することなくコンパクトに保管ができます。
天板は、従来の防護板(幅42センチメートル)よりもコンパクトなサイズ(幅35センチメートル)を採用し、細幅掘削や小口径PE管の防護にも適用できます。
施工手順は、(1)地上でPE管を融着した後、防護シートを巻き付ける(2)連結ひもで連結した側板をPE管に取り付ける。(3)埋設する位置までPE管を吊り下ろす。(4)既設管と新設管を接続する(5)埋め戻しながらPE管の上部に天板を設置する。(6)標識シートを天板の上部に埋設し、他工事業者への安全措置を取る(7)埋設場所を完全に埋め戻して道路を復旧する――となっています。
大東電材は、東邦ガスネットワークと共同開発した「パイプフィットガード」を通じて蓄積した技術ノウハウを活用し、中圧PE導管へのPE管適用を拡大するガス事業者のニーズに応えるべく製品開発に継続して取り組んでいきます。
●トキコシステムソリューションズ―高精度で広い流量レンジに対応超音波ガスメーター「S2ソニック」〇問い合わせインフラ・エンジニアリング営業部部長松岡研(電話)050―3852―5428
超音波ガスメーター「S2ソニック」は、東京ガス、ソニックと共同開発した製品です。当社が創業以来培った各種ガス等の「流体」を計測・制御する技術をさらに磨き上げ、業界の発展に寄与する製品開発を継続してまいります。
ガスメーターに対するメンテナンスフリーや故障発生率低減のニーズを受け、可動部がなく広い流量レンジで高い信頼性をもつ超音波ガスメーターを開発、2011年4月から実用化しました。中圧領域(0・04~1メガパスカル)で使用可能です。
(1)高精度で広い流量レンジに対応
広い計測範囲(流量レンジ1:40、ローカット流量200分の1)で高精度な計測が可能です。矩形管路により上流配管等の流速の影響を受けにくくなっています。
(2)流速変化に即応
一対の金属製センサーが発信と受信を交互に繰り返す時に、超音波の時間差が流速に応じて変化する超音波方式を採用しました。高頻度の送受信で急激な流速変化にも即応します。
(3)ダスト・ミストや逆流に強い
ガス配管中のダストやミストなどの影響をほとんど受けません。使用状況によりガスが逆流した場合でも、正流・逆流を判別して、流量計のカウントアップを防止します。
(4)表示部一体化構造(負荷機能)と通信機能
指針、アラーム表示部とデマンド表示部を一体構造化しているため、大口取引契約のための負荷記録計の追加設置等が不要です。専用通信ユニットとの接続により、センターからの遠隔監視や、自動検針への対応が可能です(専用機能のため、対応できない場合があります)。
●東京ガスエンジニアリングソリューションズ―避難所等の電源確保に役立つハイブリッド式小型非常用発電機○問い合わせ首都圏エンジニアリング営業部(電話)03―6452―8418
東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)は激甚化する災害等による長期の停電対策として、小型で取り扱いの簡便なハイブリッド式小型非常用発電機「G―Sketto(ジースケット)」を開発・販売しています。
この発電機は、レース用エンジンメーカーのYGK通商と同社が共同で開発した都市ガス・LPガス切り替え対応可能な小型非常用発電機(単相100ボルト/200ボルト仕様、出力3キロボルトアンペア)です。
自然災害等により停電が発生すると、約40秒で起動し、自動で電力供給を開始し、停電復帰後は自動で商用電力へ切り替わります。
燃料はガス体であるため、油タンクの設置や、手間のかかる長期の燃料貯蔵による劣化や変質への対応管理が不要で、燃料によるトラブルリスクが低いのが特長です。さらに新開発のマルチ燃料対応ミキサーを搭載したことで、エンジンの調整を行わずにバルブひとつで都市ガスとLPガスの切り替えが可能となりました。これにより、万が一、都市ガスが途絶えてもLPGボンベ(30キログラムボンベ×2本)を用意するだけで72時間連続運転ができます。
非常用ニーズに特化した小型発電機のため、電気とガスを接続するだけで稼働することができ、軽量(乾燥重量250キログラム以下)・コンパクトなサイズ(幅946×高さ1142×奥行き562ミリメートル)で建物近傍の屋外空きスペースや屋上にも設置できます。
昨夏の発売以来、非常用電源ニーズの高い施設から数多くの問い合わせをいただいております。照明や情報機器の電源や充電に適した製品です。
運用に当たっては、保守会社とのメンテナンス契約を締結していただき、いざという時にも確実に作動するための動作確認(1回/年)を行っていただきます。
なお、モジュール化構造を採用し、エンジンや発電機を整備品と交換する仕組みを採用し、メンテナンスにかかる期間を短縮しています。
また、リモートで発電機の発電・停止を行ったり、運転状態を確認するサービスを付加することも可能です(別途SIMカードの契約が必要)。
現在、「G―Sketto」は、マンション、コンビニ、飲食店・外食、医療関係等の施設のポンプ、冷凍・冷蔵庫などの動力に対応する三相200V仕様の開発を進めており、新たなニーズに対応していきます。そのほか、12Aガスへの対応や、脱炭素化を見据えて、水素、バイオガスへの対応も視野に、さまざまな技術開発を進めています。
今後、「G―Sketto」は、暮らしや事業を守る製品として、皆さまに安全と安心をご提供するとともに、都市ガスの位置づけ(非常時の電源供給・レジリエンス機能)を向上させる機器として普及を推進します。
●ブレインジェネシス―ガス需要家向けウェブ請求需要家ポータル「CSポータル」○問い合わせ経営戦略部(電話)03―6424―7767Eメールinfo@braingenesys.co.jp
自動検針の普及、紙使用量やCO2削減などのSDGs(持続可能な開発目標)への取り組み機運の高まり、需要家利便性の向上などの観点から、ガス需要家向けウェブ請求・需要家ポータルのニーズはますます高まるものと考えられます。
ブレインジェネシスが提供する「CSポータル」は、PDFとして作成した請求書ファイルをアップロードすることで、従来の紙請求書とほぼ同様の請求書イメージを需要家にお届けできるガス需要家向けウェブ請求・需要家ポータルです。CSポータルを利用すると、これまでの紙請求書の発行に必要だった請求書用紙代、印刷費、封筒代、郵送費、人件費などのコスト、手間、時間を大幅に削減できます。
当社製のガス基幹システム(SuperXシリーズなど)以外の他社製ガス基幹システムをお使いの場合でも、特定のルールでファイル名を付与した請求書PDFが出力できればCSポータルと連携することができます。
また、その請求書PDFに一定の事項が記載されていれば、売り手が発行する適格請求書(インボイス)とすることも可能です。
当社は2022年10月に「カナデンブレイン」から「ブレインジェネシス」へ社名変更いたしました。全方位にわたるデータの利活用でガスエネルギー事業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に推進できるガスエネルギー事業統合情報システム「SuperX03」、需要家数1千件の販売店で月額3万円から利用可能なクラウド型LPガス販売管理システム「みねるば」、当社製以外の販売管理システムでもスマホ検針を可能にする「検針スマホ・ハブサービス」など特色ある自社製品を有しており、これら自社製品や協業各社のさまざまな製品などを組み合わせてベストなソリューションをご提案しております。
エネルギー自由化時代の激しい環境変化の中、この機会を絶好の飛躍のチャンスと捉え、総合エネルギー事業者として変革を続けられるガス事業者とともに、いま何が大事なのか、何をすべきか、を考え、新しい事業の仕組み作りに向けたご提案、問題解決をタイムリーに行うことで、ガス事業者を強力にご支援いたします。
●ニシヤマ―「自家消費PV+EV充電器」脱炭素社会貢献に向けたエネルギー分野アイテムを紹介○問い合わせ営業本部ITソリューショングループ(電話)03―5767―4422
ニシヤマは1916年に創業し、エネルギーからプラント、輸送、機械設備、情報通信、半導体、インターネット商取引などの分野で、「技術開発型」専門商社として活動しています。特に、エネルギー分野は、化石燃料エネルギーの価格高騰への対応、世界中でのSDGsやRE100の取り組み等が加速しており、目まぐるしく環境が変化しています。
当社は、こうした市場変化にも企業理念である「お客さまの最適をお届けします」をもとに柔軟な対応と新しい価値をお届けする活動を進めています。当社の取り組みの一例を紹介させていただきます。
○事業者向けスマートエネルギーシステム
ニシヤマは現在、脱炭素社会が加速する中、その施策の一つとして注目されている自家消費太陽光発電(自家消費PV)+電気自動車(EV)充電器を組み合せた「事業者向けスマートエネルギーシステム」を提案、推進しています。当社の太陽光ビジネスは、10年程前に中国での太陽光パネル(OEM品)の生産ビジネスから始まり、全量売電(FIT)式の太陽光ビジネスへ移行しました。FIT買取り価格下落や国からの支援も重なり当社も、これまで培ってきた太陽光発電ビジネスのノウハウを生かし、パートナー企業と連携しながら「事業者向けスマートエネルギーシステム」にワンストップで対応する体制を構築しています。この取り組みを、当社は本格的な脱炭素社会実現への対応、参画へのワンステップとも捉え、注力していきます。
○事業者向けスマートエネルギーシステム導入メリット
ニシヤマが提案、推進している事業所向けスマートエネルギーシステムは、自家消費PVと、EV充電器を合わせることで、よりスマートな電力運用を実現できます。導入メリットの一つが、昨今、企業の経営を圧迫している一因である電気料金の高騰化対策です。また、CO2排出量の削減+企業のイメージアップにもつながります。さらに、充放電可能なEV電器を組合せることで、EVを蓄電池代わりにし、災害時にEV充電器を通してEVの電気を事務所に送り一時的なライフラインの確保が可能にもなります。
導入実績は22年度が20件ほどでしたが、23年度上期の時点で同等の受注をいただいており、前年比2倍近くの受注を見込んでいます。また、当社本社にも、事業者向けスマートエネルギーシステムの導入を進めており、社内運用や顧客の来社時に見学いただける設備としても活用する見込みです。
事業者向けスマートエネルギーシステムを導入いただくと顧客とは10年、20年と長きに渡るお付き合いとなります。担当社員だけではなく、社内全体に向けた勉強会を実施し、システムへの理解を深め、営業体制とアフターフォロー強化などの対応を継続します。
また、より当社を親しんでいただけるように西山社長をキャラクターに活用したチラシやホームページの作成にも力を入れています。脱炭素社会が今後どのような方向性になるのか、未知の部分もありますが、今できることに最大限取り組み、脱炭素化に貢献していきたいです。ナレッジを蓄積しながら、変容する時代とそのニーズに、柔軟に対応し続けていきます。
●ヤンマーエネルギーシステム―ZEB対応を見据えた高COP、室外機13馬力にこマルチを発売〇問い合わせホームページhttps://www.yanmar.com/jp/energy/ghp/
ヤンマーエネルギーシステム(本社・大阪市)は、最新モデル(Lシリーズ)のZEB対応を見据えた高定格効率(COP)室外機13馬力にこマルチを10月に発売しました。
ZEBとはNetZeroEnergyBuilding(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。ZEBの評価指標は設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で除したBEI(BuildingEnergyIndex)値で決まります。例えば、ZEBReadyのBEI基準は0・5以下です。
空調熱源機のエネルギー消費量は、COPに熱源機器分類で決まった部分負荷効率特性を乗算した値で、空調熱負荷をさらに除すことで求められます。従いましてCOPの高いGHPがZEB物件に採用されるための有利な条件となります。
今回当社が発売したモデルは形式YWZP355L1DB(13A/LPG燃料種兼用)でCOPは冷房1・39、暖房1・55で、GHPではトップクラスです。また、にこマルチ化したことで16馬力、20馬力、25馬力との連結制御運転が可能となり、部分負荷効率が下がる低負荷時に13馬力を優先運転することで全体の部分負荷効率を向上させることが可能となりました。
計算上(国交省建築研究所ホームページ掲載サンプルプログラム利用)では当社25馬力単機とにこマルチ連結タイプ13馬力2台を比較した場合のBEI(空調のみ)値は単機設置が0・51に対して連結設置では0・41と約20%低減する結果となります。
高COPモデルは冷暖平均COP1・3以上の機種を示し、当社では13馬力の他に16~25馬力も高COPラインアップとなりますので、今後需要が増加するZEB対応には当社GHPのご検討を宜しくお願いします。
●矢崎エナジーシステム―道路交通法施行規則の改正に合わせアルコール検知器を開発○問い合わせガス機器事業部企画部(電話)053―925―4511
今年12月1日に施行された改正道交法を受けて、自社製のアルコール検知器と管理アプリをセットで提供するサービスを開始しました。今回の改正では一定台数の白ナンバーの車両を業務に使用する事業者に対し、(1)運転前後のアルコール検知器を用いた検査の実施(2)アルコール検知器を常時有効に保持すること(3)当該記録を1年間保管すること――の要件を求めています。
今回開発したアルコール検知器は一般的に採用されている液晶表示やブザー音に加え、マルチカラーLEDや振動モーターを用いて吹込みの開始・終了や検査結果を発光色と振動により利用者に伝えるなど、光・音・振動で直感的な操作感を追求しています。
また、圧力センサーによる吹込み量の確認により不正防止の機能も持たせています。
同時にサービス提供する専用アプリにより検査実施、データ保存することとなります。ドライバーはアプリを起動して検知器に息を吹き込み、検査を実施します。検査記録はクラウドにワンタッチ送信され保存されます。管理者はパソコン等の管理画面でリアルタイムに結果を確認できます。その際、アプリの顔認証により不正防止機能も働きます。
検査義務化の条件にある検査記録の1年間保存をクリアするとともに、義務化に伴う従業員の検査工数の削減や、安全運転管理者のリスク低減に寄与します。
今回の検査義務化では「アルコール検知器を常時有効に保持すること」が要件となるため、当社では独自のアルコール検知器管理システムを構築し、検知器のメンテナンス時期が来る以前に、事前通知メールを送付したうえで、新しい検知器を顧客に発送し検知器を入れ替える仕組みとしました。矢崎がメンテナンス時期を管理することで確実な性能の維持と顧客の管理業務の負担軽減を図ります。
アルコール検知器のラインアップは、直行直帰などの際に個人が持ち歩く可搬型、事務所で複数名が利用する据置型、矢崎のデジタルタコグラフと連携し独自の運行管理システム(ESTRA)上でアルコールの検査記録を一元管理できるデジタルタコグラフ接続型の3機種となります。
アルコール検知器と専用アプリをセットでサービス提供することで、安全運転管理業務のスマート化を実現いたします。